お騒がせプチ事件簿
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一足先に授業が終わった私は、約束通り校門の前で出久君を待つことにした。
その間、血のニオイについて考えた。
あれは、一体いつの出来事なんだろう……。
私の実力では、正確な時間を割り出すことはできない。
だけど、長年の経験と感覚から、おそらくあと1時間もしないうちに、私はあの鉄のニオイを嗅ぐことになる。
1時間後なら、私はもう家に着いているはずだ。
普段、夕飯の支度中のキッチンには立ち寄らないから、調理中の肉や魚の血ではない。
転んで鼻血が出る程度の血ならいいんだけど……。
もし、家の中に不審者がいたら?
インターホンが鳴って、扉を開けた瞬間に誰かが刃物を持って襲いかかってきたら……。
想像が最悪の方向へと加速し、背筋に冷たいものが走る。
身震いして自分の肩を抱き寄せた、その時だった。
「あれ……?」
鞄に着けていたはずの、お気に入りのキーホルダーがないことに気が付いた。
金具の根元から紐がぷつりと切れている。
経年劣化だろうか。
「嘘、どこで……」
慌てて周囲の地面を見渡すと、幸いにも数メートル先の植え込みの近くに、キラリと光るそれを見つけた。
「あった……!」
ホッと胸をなで下ろし、駆け寄って手を伸ばした、その瞬間だった。
シュバッ
「うわぁっ!?」
視界の端から、小さな影が猛烈なスピードで横切ってきた。
そいつは器用にキーホルダーを口に咥えると、そのまま校庭の奥へと駆け去っていく。
「え……?」
あまりの出来事に、伸ばした手の形のまま固まってしまった。
呆然と立ち尽くしていると、後ろから息を切らした出久君の声が響いた。
「お待たせ、●●ちゃん!……って、どうしたの?ぼーっとして」
「……猫が」
「えっ、猫?」
「猫に、私のキーホルダー……盗まれちゃった」
私から事情を聞いた出久君は、目を丸くして困惑した表情を浮かべた。
影の正体は、白・黒・茶が入り混じった、見事な毛並みの三毛猫だった。
「すぐ探さないと!」
「でも、今日は何が起きるか分からないし……。早く帰った方が安全だよ!」
出久君の言葉はもっともだ。
正論すぎて返す言葉もない。
だけど、これだけはどうしても譲れなかった。
「……嫌。あれは、絶対に探さなきゃいけないの。大切な物なの!」
少し強引な私の物言いに、出久君は一瞬だけ驚いたように目を見開いた。
だけど、すぐにいつもの彼らしい、優しくて真っ直ぐな瞳で頷いた。
「……分かった。その猫の特徴を詳しく教えて。僕も一緒に探すよ!」
「出久君……。ごめんね、ありがとう……」
私は急いで三毛猫の模様や逃げた方向を伝え、彼と共に、夕闇が迫る校内へと走り出した。
その間、血のニオイについて考えた。
あれは、一体いつの出来事なんだろう……。
私の実力では、正確な時間を割り出すことはできない。
だけど、長年の経験と感覚から、おそらくあと1時間もしないうちに、私はあの鉄のニオイを嗅ぐことになる。
1時間後なら、私はもう家に着いているはずだ。
普段、夕飯の支度中のキッチンには立ち寄らないから、調理中の肉や魚の血ではない。
転んで鼻血が出る程度の血ならいいんだけど……。
もし、家の中に不審者がいたら?
インターホンが鳴って、扉を開けた瞬間に誰かが刃物を持って襲いかかってきたら……。
想像が最悪の方向へと加速し、背筋に冷たいものが走る。
身震いして自分の肩を抱き寄せた、その時だった。
「あれ……?」
鞄に着けていたはずの、お気に入りのキーホルダーがないことに気が付いた。
金具の根元から紐がぷつりと切れている。
経年劣化だろうか。
「嘘、どこで……」
慌てて周囲の地面を見渡すと、幸いにも数メートル先の植え込みの近くに、キラリと光るそれを見つけた。
「あった……!」
ホッと胸をなで下ろし、駆け寄って手を伸ばした、その瞬間だった。
シュバッ
「うわぁっ!?」
視界の端から、小さな影が猛烈なスピードで横切ってきた。
そいつは器用にキーホルダーを口に咥えると、そのまま校庭の奥へと駆け去っていく。
「え……?」
あまりの出来事に、伸ばした手の形のまま固まってしまった。
呆然と立ち尽くしていると、後ろから息を切らした出久君の声が響いた。
「お待たせ、●●ちゃん!……って、どうしたの?ぼーっとして」
「……猫が」
「えっ、猫?」
「猫に、私のキーホルダー……盗まれちゃった」
私から事情を聞いた出久君は、目を丸くして困惑した表情を浮かべた。
影の正体は、白・黒・茶が入り混じった、見事な毛並みの三毛猫だった。
「すぐ探さないと!」
「でも、今日は何が起きるか分からないし……。早く帰った方が安全だよ!」
出久君の言葉はもっともだ。
正論すぎて返す言葉もない。
だけど、これだけはどうしても譲れなかった。
「……嫌。あれは、絶対に探さなきゃいけないの。大切な物なの!」
少し強引な私の物言いに、出久君は一瞬だけ驚いたように目を見開いた。
だけど、すぐにいつもの彼らしい、優しくて真っ直ぐな瞳で頷いた。
「……分かった。その猫の特徴を詳しく教えて。僕も一緒に探すよ!」
「出久君……。ごめんね、ありがとう……」
私は急いで三毛猫の模様や逃げた方向を伝え、彼と共に、夕闇が迫る校内へと走り出した。
