お騒がせプチ事件簿
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〜お騒がせプチ事件簿〜
目覚めの良い朝。
窓越しに見る外は、文句のつけようが無いほどの快晴だった。
ベッドの上で、目一杯の酸素を取り込むように、大きく深呼吸をする。
「スー……はぁ……」
呼吸と同時に鼻腔をくすぐったのは、お日様のような温かさと、わずかに汗の混じったニオイ。
出久君のニオイだ……。
もちろん、私の隣に彼が寝ているワケではない。
そもそも、彼をこの部屋に招いたことすら、まだ一度だってないのだから。
だけど、私の鼻は確かに彼を感じていた。
個性『アロマ』。
それは、これから私の身に起こる未来の香りを予兆として感じ取る力。
「ってことは、今日は登校中に出久君とばったり……なんてことがあるかも」
そう考えただけで、まだ寝ぼけていた脳が一気に覚醒する。
頬が自然と緩むのを抑えられないまま、私は勢いよくベッドから抜け出し、身支度を始めた。
冷たい水で顔を洗い、シワひとつない制服に袖を通す。
リビングの扉を開けると、香ばしいパンの香りが私を迎えてくれた。
テーブルには、こんがり焼けた食パンに、目玉焼き、そしてパリッと弾けそうなウインナー。
至ってシンプルなメニューだけれど、とても美味しそう。
思わず頬が緩む。
「ん〜良いニオイ!いただきまーす!」
私の個性は意識しないと発動しない。
そのため、こうしてリアルタイムのニオイだってしっかりと感じられる。
トロリとした卵の黄身をパンに絡ませながら、私はフフっと喉を鳴らした。
……いけない、ついニヤけちゃう。
早く食べないと遅刻してしまう。
急いで朝食を胃に収めると、食器を片付ける。
それから、元気な声を残して玄関を飛び出した。
「行ってきます!」
外の空気はひんやりとしていて心地いい。
角を曲がれば、個性で嗅いだニオイが現実になるはずだ。
「今日は、なんだか良いことが起こりそう!」
確信に近い予感を胸に、私はいつになく軽い足取りで学校への道を駆け出した。
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