諦める決断
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〜諦める決断〜
昔から両親には絶対にヒーローを目指さないで、と口酸っぱく言われていた。
それに対して、
「よく分からないけど、分かった!」
と幼い私は深く考えずに返事をしてきた。
それに私は私で将来はケーキ屋さんになりたい、お花屋さんになりたい、と夢を見てたから、両親の言葉を特に気にも留めていなかったというのもある。
だけど、仲が良い出久君が将来はヒーローになりたい、と言おうものなら、私も影響されて目指したくなる。
ーーーー
「ヒーローは格好良いんだ!特にオールマイトがね─────」
保育園でお迎えがくる間、出久君は好きなヒーローについて熱く語る。
そんなに楽しそうに話す彼に魅入られて、私も食い入るように聞いた。
「うんうん、凄いね!それでそれで!」
「────が────でね!僕はそんなヒーローみたいになりたいんだ!」
「私も出久君とヒーローになりたい!」
「いいね!なろうよ!」
ケーキ屋さんだとか花屋さんだとか、それらになりたいなんて夢を忘れるくらい、キラキラと輝いていた出久君ともっと一緒にいたくて、私はそう言った。
もちろん、ヒーローになりたいと言う気持ちにも嘘はない。
ただ、私たちは未熟だ。
個性がまだ表れていない出久君。
個性を理解していない私。
現実味がない、ただの口約束。
それでも私たちは将来を疑わずに出久君と指切りをした。
「●●ちゃーん、お母さんがお迎えに来てくれたわよ」
保育園の先生の呼びかけで外を見るとお母さんがいた。
「はーい!それじゃあ、またね出久君」
「うん!」
私は荷物を持って出久君に手を振ってから教室を出た。
「今日も楽しかった?」
帰りながら、いつもお母さんと今日あった出来事を話す。
「うん!あのね、お母さん。私、将来は出久君とヒーローになる!」
ヒーローを目指すな、とは言われていたけれど、なんだかんだ喜んでくれると思った。応援してくれると思った。
それなのに、お母さんは険しい顔をするだけで、何も答えてくれなかった。
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