好きな人ほどいじめたい
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~好きな人ほどいじめたい~
私には幼馴染みがいる。
無個性で泣き虫で弱々しくて頑張り屋さんな緑谷出久君。
彼が落ち込んでいたり、苛められて泣いていたりしたとき、私がいつも彼の手を握ってあげていた。
「またかっちゃんに苛められたの?」
「うん……僕なんてどうせ……無個性のポンコツなんだ」
「どうせなんて言わないで、それに無個性がポンコツなら………」
「●●ちゃんは無個性でもポンコツじゃないよ!」
慌てて取り繕う出久君。
涙はすっかり引っ込んでいた。
「ふふふ、ありがとう。…………あ、ここ汚れてる」
私は繋いだ片方の手を離して、ポケットから取り出したハンカチで出久君の汚れたお顔を拭いた。
「キレイ、キレイ」
「●●ちゃん、ありがとう」
そう言って彼はいつも笑う。
太陽みたいな笑顔。
「●●ちゃんに手を握ってもらうと、何だか元気になるよ」
「私のおかげじゃないよ、出久君が明るい性格だからだよ」
「●●ちゃん……」
顔を赤らめる出久君。
夕日に染まっちゃったのかな?
「暗くなる前におうちに帰ろ?」
「うん!」
手を繋いだまま帰る時間は私にとって宝物だった。
こんな日がずっと続けば良いのに。
そんなことを思った5歳の頃。
ーーーー
あれから10年。
出久君は雄英高校ヒーロー科へ、私は普通科へ入学した。
手を繋いで帰ることもなくなり、いつも泣いていた出久君はもういない。
触れられないことが、悲しい……寂しい……。
だって………。
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