Trickstar
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
―「ほっちゃん。おっかえり〜!」
女優の母とアイドルの父の娘である私は当然、親の影響を受けているわけで職業は女優だ。映画の撮影の為、暫く実家に帰っていなかった私は、今しがた帰宅した最愛の弟の北斗を抱き締めた。めちゃくちゃ抵抗される。「やめろ。触るな」と近頃のほっちゃんはどうも反抗期みたいだ。「抱き締めるのやめるね。おかえりのチューしたげる」と顔を近付けると手で頬を押し返され、「海外じゃあるまいし、姉弟で普通キスはしないぞ」と「妹がいる衣更に訊いてみたが、そんな事しない。と言っていた」と、つまり氷鷹家のこの風習は異常であると言いたいらしい。うちではこれが普通なので、ほっちゃんの反論を全く受け入れられない。「よそはよそ。うちはうち」と押し問答を続けていると、ほっちゃんの天敵が帰宅した。
「姉弟喧嘩とは珍しい。パパの顔に免じて仲直りしなさい」
「厄介なのが揃ったな」
「姉弟喧嘩じゃないですー。ほっちゃんが反抗期なだけで」
「うちの子供達は今日も可愛いですね」
帰宅した父が私とほっちゃんの頭をわしゃわしゃと撫でつける。パパのことは好きだけれど、今はほっちゃんと戯れたい。しかし、弟を追いかけ回していた私に誠矢パパからまさかの質問をされ、ほっちゃんを追うのを諦めた。「ドラマで共演していた俳優とスキャンダルが報じられてましたが、あれは本当ですか?」と声は優しいけれど、そのオーラはドス黒い。フラ○デーめ。と唇を噛み締め、怪訝な視線を向けてくるほっちゃんとパパを交互に見つめる。「あんなのガセネタに決まってるでしょ。パパとほっちゃんのような美形に囲まれて育った私が、あんな俳優に惚れるわけがない」と、言ってやったぜというように笑う私に「さすが僕の娘です。ほら、ほっちゃんも安心したでしょう?」とパパが北斗に声をかける。
「俺は特に興味ないが。姉さんにはそろそろ恋人が出来てもいいんじゃないだろうか?」
「そうなれば、ブラコン、ファザコンも直るだろう」と、ほっちゃんまじ塩対応だ。小さい頃は可愛かったのに、夢ノ咲に入って以来どんどん姉離れしていってる気がする。寂しい。母も私同様にほっちゃん溺愛者なので、同じような事を言っていたが。よし、生意気なほっちゃんに反撃することに決めた。彼の友人を引き合いに出せば、ほっちゃんも黙っていられないだろう。「ほっちゃんと同じユニットのスバルくん。この間初めて会ったけど、「お姉さんキラキラしてる〜」って子犬みたいに懐いてくれたよ」と。まぁ…キラキラしてるっていうのは多分、あの時付けていたイヤリングのことだとは思う。ほっちゃんと違って単純で可愛い子だった。スバルくんの人懐っこさを少しでも見習ってほしいものだ。「そういえば、ホッケーのお姉さんキラキラしてたとか、何とか言っていたな」と、私の言わんとしている事を感じ取ったのか、ほっちゃんは眉間に皺を寄せる。
「明星はアホで単純なだけだ。俺は姉さんとじゃれる気は無い」
「ふーんだ。ほっちゃんの恥ずかしいエピソードをトリスタの子達に暴露するからいいもん」
END