Trickstar
名前
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―「なんでパフェ頼んでるんですか?」
私の困惑した声をよそに、氷鷹さんは「君は甘いものが好物だって聞いたから」と答える。そして苺がたっぷり乗ったパフェが私の前に運ばれてきた。彼…氷鷹誠矢はLilithの一員であり、trickstarの氷鷹くんのお父様でもある。そんな彼に連れられて高級レストランに来たのだが、その話の殆どが息子さんの話題である。高校生の息子さんを「ほっちゃん」呼びはどうかと思うが、そんな余計な事は言えない。彼がほっちゃんを溺愛しているのはよく分かるが、基本的にほっちゃんの意思はガン無視だ。遠慮なく苺パフェを頬張っていると、そんな私を眺めながら彼は微笑む。「名前ちゃんに、僕の娘になってほしい」え?何それ告白!?養子に来いってこと?と眉根を寄せるが、彼は何食わぬ顔でとんでもないことを告げる。
「正確に言うと、うちのほっちゃんのお嫁さんになってほしい」
「いや、それ…ほっちゃんの意見訊いてないですよね」
私の本職はEdenのプロデューサーだから一応trickstarとは敵対関係にあるわけで。「ほっちゃんに会ったことあるんでしょ?」と訊かれ、それは事実なので頷くが、それとこれとは話が違うくないですか。クールそうに見えて氷鷹さん結構マイペースだな。「ほっちゃんにも選ぶ権利があるでしょうに。何故私なんですか?」ねぇ、これ最もな疑問でしょう。ていうか、それなら夢ノ咲のプロデューサーちゃんのほうが私なんぞよりも格段に可愛いと思うのですが。その旨を訴えるや否や、彼は首を振る。「全然分かってないよ。名前ちゃんだって充分可愛いんだから」と。私からすれば、分かってないのは氷鷹さんのほうだと思うんですけどね。なんでこの人、私にそんな執着心持ってるんだろう。確かにLilithのプロデューサーも私がやってるわけだけど、何故こんな小娘に固執する必要があるんですか。
「ほっちゃんは私みたいな奴タイプじゃないと思いますよ」
「安心して。僕の息子だからね、女性の好みも似てるに決まってる」
「君は若い頃の妻に似てるよ。今度妻にも君のことを紹介しよう」と、話の当事者ほっちゃんは蚊帳の外で話は進んでいく。そもそも私が「氷鷹さんにそっくりな、素敵な息子さんですね」とほっちゃんに好印象を抱いているような発言をしたのが事の始まりだった。正直、こんなことになるとは予想していなかった。「未来の娘とデート出来て嬉しいよ」と、店を出て私の手を引く氷鷹さん。どうやら私はほっちゃんのお嫁さん(仮)ではなく(確定)のようだ。なんだかんだ言って、満更でもない。決して口にはしないけど…。
END