Trickstar
名前
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―所詮、私達はアイドルとプロデューサー。それ以上でもそれ以下でもない。だから私は誰にも恋愛感情を抱いてはいけない。その規則は、この学院に来た時から心に刻んでいた。
「名前の髪飾り、キラキラしてる~」
買ったばかりの髪飾りは光に反射して輝きを放っている。その輝きに引き寄せられたかのように私の傍に駆け寄って来た明星スバルくん。別に、彼をおびき寄せようとしていたわけではない。それなのに…「可愛いね」の一言で内心浮足立っている私は単純だろうか。
良く考えてみれば、彼が褒めたのは髪飾りの事であって、私の事を言っているのではないだろう。教室まで向かう道程を二人きりで歩いている今、私が複雑な想いを巡らせているなんて彼は決して気付かないのだろう。
「スバルくん、光り物好きだもんね…」
教室に入ったところでクラスメイト達の挨拶にかき消されて、拗ねたように呟いたその言葉は彼の耳に届かなかったのだと思った。
「今日はいつもと雰囲気が違うね。似合ってるよ」
あぁ…分かった。私は私自身を褒めて欲しかったんだ。真くんの一言で、それを気付かされた。しかし、予想外な事にお礼を言って笑う私の制服の袖を引いた人物は明星スバルその人であった。
「さっき可愛いって言ったのは名前の事ね。髪飾り、似合ってるって意味だよ」
キラキラしてる名前には、キラキラしたものがお似合いだね。と、彼は照れくさそうに明かしてくれた。なんだ、そういう意味だったのか。と安堵の息を零した。
「そういうキラキラした髪飾り、今度俺にも選ばせてよ」
名前に似合うもの贈りたいんだ。と、微笑む彼の笑顔は何よりも眩しく感じた。人間である限り…誰も好きにならない。なんて約束は出来ないものだ。想いを押し殺すのが、こんなに苦しいなんて知らなかった―
END