乙狩アドニス
名前
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―寡黙な彼の第一印象は、"近寄りがたい"というのが正直なところではあった。それなのに、今ではどうだろうか…。その彼は、私の一番身近な存在になっていた。
「俺の観察はそんなに面白いか?」
「ジロジロ見てごめんね」
彼、乙狩アドニスと私は部活のチームメイトであり恋仲である。部活の最中、ストレッチしている私の傍で腕立て伏せをしている彼。その逞しい腕の筋肉に見惚れていた私に彼から訝しげな視線が向けられた。観察というか、ただ…格好いいな。と思って見ていただけだ。誤魔化すような笑顔は彼には少し失礼かもしれない。
「名前に安心してもらえるように、俺はもっと鍛えるつもりだ」
「今のままでも十分頼もしいよ。ありがとう。アドニス君」
筋トレが終わった彼は私の筋トレをサポートしようと隣に来てくれた。その彼から、まるで小動物を可愛がるのと同じように頭を撫でられて、火照った頬が更に温度を上げるのを感じた。嬉しくて、恥ずかしくて、どう接したらいいのか分からない私の目の前で涼しい顔をしている彼を一瞥して、私は立ち上がった。走って、風に当たれば少しは頭を冷やせるだろうか。それくらい、私には余裕がなかった。今まで…何を考えながら走っていたんだろう?思い出せないくらいに、頭の中は彼でいっぱいだ。
―「相思相愛って素敵ねぇ」
前に嵐ちゃんに相談した時に言われた言葉が頭を過ぎる。しかし、本当にそうなのだろうか。私だけが、彼を好いているだけなのではないかという不安がないと言えば嘘になる。恋愛って、どうしてこんなに難しいんだろう…。
―「そんな姿でウロウロするんじゃない」
俺に襲われるぞ。低い声音でそう囁かれた。備え付けのシャワーを浴びた後に下着姿で部室内を歩いていたら後ろから抱き竦められた。嵐ちゃんも光君も帰宅後だったせいで、完全に油断していた私はアドニス君の腕の中に拘束された。
「アドニス君になら、襲われたいな…」
「そんな事言って、後悔するなよ。名前」
後ろから胸元に添えられた大きな掌に、下着の上から胸を掴まれた。優しい彼なりの触れ方に、もどかしさが募る。もっと乱暴に揉んでほしくて彼の手に自らの手を重ねていた。顔だけ振り向かせた私の唇と彼の唇が交わって、淫らなキスを繰り返した。
「んゥ…っ。もっと、触ってェ…!」
「名前は欲張りだな」
胸を覆う布が捲られて、ゴツゴツとした手が直(じか)に乳頭を虐めてくる。強弱をつけた、その愛撫により無意識に腿をすり合わせてしまう。下腹部がキュンと疼く。そんな私の様子を見兼ねて、彼の指がショーツの上からツーっと割れ目をなぞった。
「こんなに濡らしていたのだな…」
「そういうアドニス君だって、硬いの私に当たってるよ」
互いに同じ事を考えている。そう悟って、位置を移動した。ベンチに座った彼と向かい合う形…対面座位の体制になる。初めての体制に躊躇しながらも、十分に解れているソコは屹立した彼のペニスを銜え込んだ。
「…アァ…っ」
「俺にしっかり掴まっていろ。名前」
他の体位よりも、より深くに彼のモノが届くこの体制。下から突かれる程に全身に快感が込み上げてくる。
「アァン…っ。それ、いやァ…っ」
素肌が密着して、彼の熱い体温を感じる。普段から鍛えている彼の腹筋は男らしく、厚みがある。激しいピストン運動に翻弄される私の喘ぎ声が静寂な部屋に響いて、煽情的な雰囲気が支配していく。
「アドニスくん…っ。大好きだよ」
「名前…っ。俺は、愛している…」
普段は中々明かされる事のない彼の気持ちに触れられた気がして嬉しくなった。抱き合いながら重ねられた口付けは、舌と舌が絡み合う濃厚なものになった。
「締め付けが、凄いな…っ」
「ヒャアァ…っ。イっちゃうよォ…っ」
ラストスパートでガツガツと再奥まで突き上げられて、本日最高の絶頂が私達を満たした。ぎゅっと抱き合ったまま果てた私達の心に広がるのは愛しい感情だけだ。
END