羽風薫
名前
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※中学時代
-「相変わらずの軟派っぷりね」
名前の声に反応して振り向いたのは幼馴染みの羽風薫で。何故か彼が告白されている場面に居合わせてしまい、気まずい空気が流れる。今回が初めてではなく、これで何度目になるのか分からない。蔑むような鋭い視線が彼に向けられ冒頭の台詞が告げられた。
「名前っていつも絶妙なタイミングで現れるよね。もしかして、俺のストーカー?」
からかうように口元に笑みを浮かべてそう言うと、彼女は「誰がアンタなんか」と可愛げのない言葉を吐き捨てて足早に通り過ぎていく。不貞腐れているような、嫉妬しているような彼女の表情が可愛らしく思えてしまう理由なんてひとつしかない。だが…軽蔑、嫌悪…そんな言葉が似つかわしいくらいに薫は彼女によく思われていないのを理解していた。彼女の気を惹きたかった。焼きもちを妬いてほしかったのだ。他の女の子と付き合ってみたり、デートしたりしていたのはそういう隠れた下心もあった。しかし、それが逆に仇となって、振り向くどころか距離は開いていく一方だった。
-そう…中学の頃から、隣人であり幼馴染みの薫と名前は犬猿の仲だった筈だ。それなのに、今の状況は一体どうしたものか。と、薫に抱きしめられた体勢のまま考える。それは久々の再会だった。偶然家の前で出会し、突然抱きつかれたのだ。「ちょっと!何すんの!離してよ!」と文句を言おうとしたが、彼女は薫の異常事態に気付き、優しく声をかけた。「薫くん、熱あるでしょ」と。弱ってる時くらい面倒見てやるか。と羽風家に共に向かい、彼を部屋に連行した。しかし、問題が起きたのはこの直後だ。彼に腕を引かれて、キスをされたのだ。逃げるように部屋を飛び出した彼女は、壁に寄りかかり床にへたり込んで自分の唇をなぞった。薫との口付けの感覚がはっきりと唇に残っている。
「熱があるからって厄介すぎるでしょ」
ぽつりと呟かれた言葉は勿論彼には聞かれていなかった。献身的な看病のかいあって熱が下がった彼に安堵したが、目を覚ました彼の第一声は「え?どうして名前ちゃんがここに!?」だったのだ。その口ぶりからして、今までのあれこれを覚えていないらしい。抱きしめたことも、自分にキスをしたことだって記憶にないのだ。ただ看病をしたことだけを伝えて帰ろうとしたが、腰を抱かれて腕の中に囚われてしまい、彼女は無性に泣きたい気持ちになった。
「惚れ直した。名前ちゃんて、ほんと優しいね」
「薫くんのそういうとこ嫌い」
「そんな可愛くないこと言う口なんて塞いじゃお」
END