乙狩アドニス
名前
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―「夜道は危険だ。俺が送っていこう」
職場の飲み会帰りだった。時刻は既に22時を回っていた。流石に飲みすぎたかも…と最寄りの地下鉄の駅のベンチに座り込んでいた名前に声をかけた人物がいた。「顔が赤いな。飲んできたのか?」と問いかける彼は恋人の乙狩アドニスで。彼女は心臓が跳ね上がった。平日の夜中にこんな場所で出会うとは思ってもいなかった。「お酒強くないのに、飲みすぎちゃいました…」と苦笑する彼女の手を引いて歩き出した彼の台詞が冒頭のものだ。おぼつかない足取りの自分を気遣ってくれていると分かっていても、そのスキンシップにはドキドキとさせられた。学院を卒業してから数年が経ち成人を向かえた現在。アドニスの姿は昔よりも身長が伸び、雰囲気も大人の男性らしくなっていた。そんな彼に比べ、自分は相変わらず小柄で女性らしさも伴っていないと…彼女は、彼の隣を歩くのは烏滸がましいのでは?と感じていた。
「名前の手は小さいな。ちゃんと肉を食べているのか?」
彼の口癖とも言えるそれは今も健在だ。何気なく彼女の手を握り、その小ささ、細い指に触れて…彼はとんでもなく庇護欲を駆り立てられていた。「こんな暗い道を一人で歩こうと思っていたのか?どうして俺を呼ばなかった?」と彼が問う。名前のことを思いやっているが故の言葉だった。しかし、彼女は首を振るだけだった。「送って下さってありがとうございました」と頬を染めて小さく微笑む彼女を、抱きしめたくなった。潤んだ瞳で見つめられると立ち去る気になれなかった。こんなにか弱い名前を一人にさせるのは不安だ。とぽんぽんと彼女の頭を撫でる。嬉しそうにふにゃりと笑う顔はあの頃と変わらない。「やはり、名前をひとりにさせるのは心配だ。今夜は泊まらせてもらおう」と彼は彼女の部屋に上がった。酔っている名前に手を出すことはせず、「傍に居てください」と彼女の我儘に従い同じベッドで眠った。いや、正確に言えばアドニスはあまり寝られず、あどけない彼女の寝顔を眺めていた。
―「はぁ…。駄目だなぁ…」
「成人するまでそういうことはしない」とアドニスは言っていた。しかし、成人を迎えた今でも彼は自分に手を出してくれない。ずっと不満に思っていたが、本日、何となくその原因を感じ取り自己嫌悪に陥ってしまった。テレビ局で、すれ違った彼の隣には先輩であるあんずがいた。今回アンデッドの担当をしているのは彼女なので仕方の無いことだったが、女性らしくて魅力的なあんずの姿を見て、名前はどうしても自らと比べてしまったのだ。子供っぽくて色気もあまりない自分よりもあんずのような女性のほうがアドニスには相応しいに決まっている。と自宅に帰ってきてから溜め息ばかりついていた。
―「色気のない私なんかよりも、アドニス先輩はあんずさんみたいな女性のほうがいいって分かってるんです」
昨晩会った恋人が心配なのと、会いたいという気持ちが募った彼は翌日も名前の家へと赴いていた。夜なのに暑いせいか彼女の服装はベビードールだけという薄着で目のやり場に困る格好をしていた。「俺だって男だ。そんな格好を見せられたら抑えが効かなくなる…」と彼女に警告するや否や冒頭の台詞を返された。自分よりもだいぶ小さく、守り続けてきた可愛らしい名前。抱いたら壊してしまうのでは?と不安になる。本当はもっと早く彼女に手を出したいと思っていたのは事実だった。あんずと比べるつもりなんてない。どうしてこうも自信を持たせてやれないのだろうとアドニスは悩まされた。場所は部屋のベッドの上。そろそろそういう関係になりたいと熱望している彼女が彼にぴたりと寄り添う。「私、わざとこういう格好して誘ってるんですけど」と名前が照れくさそうに笑う。そんな彼女をベッド上に縫い止めて彼は告げる。
「名前の嫌がるようなことはしない。嫌なら拒んでくれていい」
「嫌なわけないです。ずっと、こうしてほしかったんです…」
薄ピンク色のベビードールを自ら捲り上げる。恥ずかしいという羞恥心よりも、彼に抱かれたいという想いのほうが何倍も強かった。柔らかな膨らみに彼の手が触れる。「本当にいいのか?」ともう一度問いかけられるが、彼女はこくこくと頷くだけだった。着ていたベビードールは脱いでしまい、白い肌が顕になった。彼の指が先端を掠めると、彼女は極端に反応を示した。欲望に抗うことはせず、彼はその頂に吸い付く。座ったまま向き合う体勢で右胸を舌で愛撫され、左は指先でくりくりと刺激される。感じさせられすぎて力が抜けた彼女は、シーツに背中を沈めて脚をもぞもぞとさせている。そんな彼に覆い被さられる姿勢で更に弱い箇所を執拗に愛撫され、秘部を指でなぞられた彼女はぐっしょりと湿っているそこを自覚し羞恥に頬を染めた。「恥ずかしい…」と恥じらう名前はなんて可愛いのだろうとアドニスは胸が締め付けられるような感覚に陥った。ショーツを取られ、蜜壷に指が挿入されナカを掻き乱される。
「アァ…っ。先輩の、指…っ。しゅごいの…っ」
後ろから抱かれた体勢で左胸に触れられながら下も指で翻弄され、部屋には名前の甘い嬌声が響く。指を引き抜かれ、彼のものが欲しくなった彼女は潤んだ瞳でアドニスを見つめた。「痛かったら我慢しなくていいから」と自分を気遣ってくれる彼の優しさを感じるが、どうしても繋がりたい。彼に気持ちよくなってほしい。と「アドニス先輩とひとつになりたいから、絶対止めちゃ駄目です」と告げる彼女に彼は躊躇わされた。だが、「アドニス先輩が好きだから。お願いです」と懇願され、決意を固めた彼は彼女のそこに屹立した男根をゆっくりと挿入する。充分に解されていたが、初めて故に痛みが走る。その痛みに耐えるように、彼の背に回された手に力が込められた。決して離さないというように脚も絡ませていた。涙の滲む目尻にキスをされ、やがて唇と唇が重なりあった。根元まで収まり、「動いていい」と言われた彼は腰を動かす。
「名前…っ。痛いなら無理をするな…っ」
「無理してないです…っ。ァ…っ」
優しく、労る言葉をかけてくれる彼だが、その瞳には愛おしさと混ざり合った情欲が宿っていた。行為を止めようとすれば名前から腕を握られ、「絶対止めないで」と眼差しで訴えられた。締め付けられ、彼女のナカで絶頂を向かえた彼は、後処理を済ませ名前を強く胸に抱きしめた。「可愛すぎて手加減が出来なかった。すまない」と謝罪をされ、彼女は首を振る。「優しくしてもらいました。それに、ひとつになれてすごく幸せでした」と名前が腕の中でふにゃりと微笑む。その頬を撫で、彼がもう一度その柔らかな唇に口付けを落とし、耳元で囁く。「名前は色気がなくなんてない。それに…今夜のお前はすごく色っぽいと思った」と。
END