朔間零
名前
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―「そこで何をしておるのじゃ?」
「零が棺桶で寝ないように、先手を打ったんだけど…」
彼、朔間零は自称吸血鬼だ。その為、日中はこの棺桶の中で寝ている。たまにはちゃんと授業に出てもらおうと、私は待ち構えていたのだ。
「名前も知っているように我輩は陽の光が苦手なのじゃ。そこを退かぬなら我輩と一緒に寝るか?」
どうしよう…棺桶の中に彼が入ってきたせいで密着している。当の本人は「名前は抱き心地が良いのう…」なんて笑っているが、これじゃ私は心臓がもたない。
「零…私、棺桶から出るよ」
「駄目じゃ。我輩は名前と一緒に居たい」
それなら棺桶から出て欲しいものだが、この奇人は私を抱く腕に力を込めただけだった。零は私の想い人で、無謀な恋をしている私からしたら…この状況はチャンスかもしれない。
「零はどうして私に居て欲しいの?」
私の問いかけにくつくつと笑った後、信じられない返答をされた。
「名前が我輩を好いてくれているからじゃよ。お主は変わり者じゃの」
腕に抱かれたまま髪を撫でられた。その優しい手付きは私を拒絶しているとはとても思えなくて、何だか安心した。
―「なんだかんだで私も棺桶で寝ちゃったね」
棺桶から出ると既に日が傾いていた。しかも、二人して棺桶から出てきたところを軽音楽部の葵くん達に見られてしまった。
「朔間先輩が名前さんとデキてたなんて…」
「いや、デキてないよ。私は零に巻き込まれただけ…「照れる事はなかろう。我輩は名前が好きじゃ…」
まだ夢を見ているみたい。零が人前であんな事言うから…私は庭園まで逃げてきてしまった。
―「これでは我輩がフラれたみたいで酷いじゃないか。我輩はまだ名前の気持ちを訊いとらん」
「答えなんて訊かなくても分かるでしょ?好きじゃなかったら棺桶の中で抱かれてるなんてしてないよ…」
夜闇を統べる魔王。その異名に相応しいくらい妖しい美しさを持っている彼の赤い瞳に魅せられて私は視線を逸らせなくなった。
「我輩のような輩を愛してくれるのは名前だけじゃな…」
先程まで抱きしめあっていたのに、もう貴方が恋しくなってる…―
END
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