Ra*bits
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―「疲れてる時になずなくんに会えるなんて、ラッキー!」
学校からの帰り道、空は既に濃紺に染まっている。自宅近くを歩いていたなずなは、自分の名をを呼ぶ声に反応して足を止めた。まるでペットを抱きしめるかのようにぎゅっとハグをされ「何するんら!?」と声を漏らした彼だが、その相手は近所に住むお姉さんの名前で。昔からなずなの憧れの存在でもあった。冒頭の台詞は久しぶりに彼に会えて嬉々とした様子で笑顔を見せる彼女のものだ。現在、会社勤めでOLとして働いている名前は「なずなくんはほんと可愛いなぁ…」と彼と視線を合わせた後、よしよしと頭を撫でる。
「名前姉。可愛いって言われても…嬉しくないんらけど」
「だって、なずなくんはその辺の女の子よりもずーっと可愛いんだもん」
暗がりでもわかるほど彼女は華やかで綺麗になっており、鼻腔を掠めるいい匂いになずなはドキドキと胸を高鳴らせていた。それなのに、男である自分を可愛いと褒めちぎる彼女の言動には不満があった。だが、如何せんなずなより名前の方が身長が高いので、男らしく抱き寄せるなど出来ず、身長差のせいで彼女の胸に顔を埋める体勢にしかならない。こんなに綺麗なら男が居てもおかしくない。そう感じて胸に広がる靄々とした感情。「名前姉は前より綺麗になったと思うけど」とのなずなの褒め言葉に、予想外なことに彼女は瞳を輝かせた。
「そんなこと言ってくれるの、なずなくんだけだよ~。ありがとう」
「うにゅ。またハグするし…。名前姉なら色んな男から声かけられてるんじゃにゃいの?」
ここ、外だってわかってる?と過剰なスキンシップに狼狽するなずなの心境などお構いなしに、「肌綺麗だねぇ」と頬ずりをする名前は自嘲的に微笑むと現在の男性関係を吐露する。「褒めてくれる恋人もいないし、なずなくんが彼氏だったらいいのにな…」と物憂げに息をつく彼女の様子に、これはチャンスかもしれないとの確信を抱いた。「なーんて、アイドル相手にこんな事言ったらダメだよね」と家に帰って行こうとする彼女の手を、なずなは咄嗟に掴んでいた。
「それなら、俺が名前姉の彼氏に立候補すりゅ!」
「いいの?お姉さん本気にしちゃうよ?」
END
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