Ra*bits
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―場所は教室。しかし、突如として目の前に現れた白い物体が俺の腕に飛び込んできた。見下ろすとクリクリとした黒い瞳がこちらを見上げている。何故、兎がこんなところに…?と思っていた時だ。隣のクラスの名前が焦った様子で教室に駆け込んできた。
「すみません!うちの兎がこの教室に逃げ込んだんだけど、見てな…「それなりゃ、コイツらろ~?」
彼女は俺のもとに近寄った途端「ノアが仁兎くんに懐いてる!」と声を上げた。
「学校にペットの持ち込みはいけにゃいんだぞ」
「うん。勝手に私の鞄の中に忍び込んでたみたいで、鞄開けた途端に逃げちゃったのよ」
困ったように苦笑を滲ませた彼女は俺に頭を下げ、兎を抱き上げようとしたが…ノアという彼女の兎は俺の腕の中から離れたがらない。その様子を見て彼女は楽しそうに笑った。その笑顔は小動物のように愛らしい。実を言うと、名前は俺の想い人でもあった。俺よりも身長は高いけれど、彼女のふんわりとした雰囲気に魅せられた。
「俺も兎を飼ってりゅから、に~ちゃんに任せりょ!」
「授業が終わったら迎えに来るから。本当にごめんね」
こうして、彼女のペットを暫く預かる事になった。ノアを持ち上げると俺の頬をペロペロと舐めた。飼い主に似て、とても可愛い。
―「仁兎くん、本当にありがとう」
「に~ちゃんに任せろって言ったらろ。それに、ノアも大人しくしてたかりゃ大丈夫ら」
どうも、彼女の前だと緊張していつも以上に噛んでしまう。しかし、これは二度とないチャンスだ。せっかく、兎を飼っているという共通点を見つけたのだから活用するべきだと気付かされた。昼休み、ノアを返す時にランチを共にする事に成功した。
「お礼と言ったら割に合わないかもしれないけど、よかったら貰ってくれない?」
彼女から差し出されたのは調理実習で作ったという可愛くデコレーションされたカップケーキだった。彼女がくれるものなら割に合わないわけがない。
「あのね、ノアが仁兎くんの所に行ったのは飼い主の私に似たんじゃないかと思うの…」
その後に告げられた言葉は俺が予想しえないものだった…。
「私が仁兎くんを好きだから、この子も仁兎くんに懐いたんだと思う」
「ノアは俺達のキューピッドだな」
END
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