蓮巳敬人
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―「貴様、スカートが短すぎるんじゃないか?」
彼女は同じクラスの蓮巳敬人を天敵として認識している。冒頭の台詞は、この前説教を受けた時に言われた内容の一つである。他に女子生徒が居ないからそう感じるのではないかと、あの時も散々な口喧嘩に発展したなぁ…と思い返しながら教室に向かって廊下を歩いていく。
「君のスカートの丈が若干長めになったのは、敬人に言われたからかな?」
思いがけず自分よりも先に教室に居た天祥院英智に挨拶をすれば、挨拶の後にそんな言葉を投げかけられた。後ろの席に着いた彼女に見透かすような眼差しを向けて、彼は綺麗な笑みを口元に携えている。二人きりの静かな空間で、苦手意識を抱く英智に彼女は苦笑を滲ませながら反論する。
「寒いから長くしただけだよ。アイツの言う事なんか聞くわけないじゃん」
「蓮巳は絶対に私のこと嫌ってるよ」と自嘲的に呟いた彼女の台詞に、思いがけない人物から呼び出しの声がかかり、彼女は顔を顰めながらも彼の後を追って空き教室に足を踏み入れた。
「どうせまた説教なんでしょ?」
窓際に立っている彼は、機嫌が悪そうな彼女を一瞥して面白そうに笑った。手招きされて近寄った彼女は覚悟を決めたように自分よりも身長の高い彼を見上げる。いつもとは違う彼の様子に不信感が沸き上がった瞬間、眼鏡越しに優しい瞳と視線が交わった。
「安心しろ。今回は説教ではない」
説教以外で敬人と喋った事のなかった彼女には首を傾げたくなる程に疑問だった。だからこそ、先程から顔が綻んでいる彼の一言で自分がこんなに笑顔になるなんて、思ってもみなかったのである。
「勘違いしているようだが、俺は貴様を嫌ってるわけじゃないからな」
「そうやって頭撫でるの狡い…」
END