蓮巳敬人
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―年に一度の夏祭りなのだから、浮足立つのは当然だ。私を迎えに来てくれた恋人の蓮巳敬人は和服が似合う事なんて周知の事実で、私が浴衣を身に纏ったって吊り合いがとれない事なんて分かっていた。
「敬人…迎えに来てくれてありがとう」
私の言葉は彼の唐突な抱擁によって途切れた。彼の浴衣姿を褒める間もなく耳元で囁かれて口を噤んだ。まさか、「浴衣姿も美しいな」なんてストレートに褒められるとは思いもよらなかった。
「敬人の方が浴衣似合ってるのに…そんな嬉しい事言うなんて狡いよ」
「俺の和服姿なんて見慣れてるだろう。だが、名前の和服姿は珍しいからな」
どちらともなく手を繋いで夏祭り会場に向かう。紅月のリーダーである彼と公共の場に現れていいものだろうかと昨夜は散々悩まされたが、祭りの雰囲気と高揚感でとっくに忘れていた。
「流石は弓道部の部長だね」
「弓道はあまり関係ないだろう」
射的の屋台で見事に景品を射止めてくれた彼から、そのブレスレットが手首に着けられた。ガラス細工のようにキラキラと輝く青い装飾が私の浴衣の色と調和していた。
「ありがとう。大事にするね」
「そんなもので喜ばれるとはな」
「敬人がくれたものなら何でも嬉しいんだよ」
―折角の夏祭りなのに…天気予報通り、ポツポツと弱い雨が降り出した。急いで近くの建物に入った私達は、そこが所謂ラブホテルだと気付いた。が、時すでに遅し。気まずそうに私の顔を覗きこんだ彼はきっとここを出る気だ。そんな事はさせまいと、彼の腕を引いて足早に部屋へと向かった。
◆◆
「雨が止むまでだ。俺は何もしないから安心しろ」
只の雨宿りで終わらせてなるものかと、部屋に入った途端に彼に抱きついて唇を重ねた。自制心を保とうとしてくれる彼には悪いが、そのままベッドの上に雪崩込んだ。
「我慢なんてしなくたって、いいでしょ。浴衣の着付けは出来るんだし」
初めてというわけでもないのに何故渋るのだろうか。男子なら憧れの浴衣プレイだろうに。それに引き換え、その気になっている私は浴衣の胸元をはだけさせて彼に擦り寄った。浴衣の下は何も着ていない。
「名前は俺を困らせるのが上手いな」
「私は敬人になら何されてもいいよ」
その言葉を皮切りに、私達の艶やかな夜が始まるのだった…。
―「ァン…っ」
はだけた胸を両手で掴まれて乳頭をクリクリと攻められた。その愛撫だけでも蕩けそうになる私を更に攻め立てる彼に、胸の頂を舌先で舐められた。いつもの堅物な彼からは想像も出来ない程、その姿は飢えた獣のようだ。
「ヤァン…敬人っ!らめェ…っ」
「そんなに感じているのか。淫乱め」
「だってェ…。両方なんて、ハァ…っ」
左胸へ舌での愛撫と同時に、三本の指でナカをぐちゃぐちゃに解されて絶頂してしまった。恍惚とした表情で彼を見つめる私を見て、彼は唇に弧を描いた。
「もう、こんなに濡らしていたんだな」
「言わないで…っ」
今日の彼は何だか意地悪だ。羞恥に頬を染めた私を見ながら、彼は濡れたそこにペニスを挿入した。唐突に見舞われる異物感が、腰を動かされる度に快楽へと変わっていく。粘着質な音が静寂をかき消していって、扇情的な気分が募っていく。熱い肌と肌が重なって深い口付けを交わした。
「敬人…っ。激しいよォ…っ」
「激しい方が好きなくせに」
低音ボイスで囁かれて耳を犯された気分だ。そのままピストン運動を加速されて果てない絶頂の波に呑み込まれた。
「アァ…っ。イっちゃいそ…っ」
「名前…っ」
私達が絶頂を迎えたと同時に、大きな音が聞こえて窓の外には大輪の花火が開いた。バツが悪そうに私を一瞥した彼とは対照的に、私は満面の笑みを浮かべたのでした。
誰も知らない夏祭りの夜―
END