神崎颯馬
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―お向かいの家に住んでいる神崎颯馬は私を姉のように慕って、何処に行くにも付いてきたがるような男の子だったのに。今ではアイドルとして活躍しているのだから…感慨深いものだ。
「颯馬…!すぐに抜刀するくせ直しなさいよ」
「すまぬ。我、身を守らねばと。条件反射で…」
学校からの帰り道で見知った姿を見つけた。もう日が暮れている時間帯にお巡りさんに尋問されている場面に出くわした。彼の刀は本物であって、言い逃れするのは困難だ。「それは演劇の練習で使用しています」と、私が説明をしたら納得してくれたから良かったものの…彼一人では騒動になっていたであろう。
「名前殿。こんな時間に女人が一人で歩いていては危険である」
先程と立場が逆転した。颯馬に叱られたのなんて初めてかもしれない。私を守るように周りを警戒しながら隣に居る彼は頼もしく感じる。流石は剣道で有名な一家の息子だ。髪が長くて女子と見まごう程なのに、男の子だなぁ…と知らしめられた。
―「名前殿は、我を弟のようにしか思ってないかもしれないが…我は違うのである」
月明かりが照らす道の途中で思いがけない心情を明かされて、私は何も答えられずに口を噤んだまま夜道を歩いた。この沈黙は私のせいだ。彼は私より一つ歳下で、アイドルであるにも関わらず私を想ってくれている。こんな幸せな境遇でいいのだろうか。
「私、颯馬より歳上だし…。颯馬ならもっと相応しい相手がいる筈だよ」
彼は私には勿体無い相手だ。確かに、颯馬の事は好きだけど、これが恋愛感情なのか確信はない。それなのに…躊躇いなど微塵もない微笑みを向けられた。
「我は名前殿以外誰も愛せぬ」
「硬派すぎるよね。颯馬のそういうとこ好きだよ…」
自宅の前で彼の腕を引っ張ったら足を止めてくれた。こんな私を好きになってくれてありがとう。その想いを込めて、彼の肩を抱き寄せた。案の定、顔を真っ赤に染めて困惑していたけれど…。
いつからこの気持ちは恋慕に変わったのだろう―
END