蓮巳敬人
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―「♪あの鐘を~鳴らすのはあなーた~」
「その曲を俺のとこに来て歌うのやめてくれ」
「だって敬人くんが除夜の鐘鳴らす係なんだからしょうがないよね」
本日は大晦日。と、いう事で私は恋人の蓮巳敬人のところに訪れている。彼の実家は寺だ。鐘を鳴らす彼を応援するという口実を設けてはいるが、ただ単に私が彼に会いたかっただけだ。
「もう夜遅いのだから、家に帰って寝ていればいいのに…」
「やだよ。冬休み中で会えないんだから、一緒にいてもいいでしょ?」
除夜の鐘を聴きながら愛し合うという憧れもあるけれど、その鐘を鳴らすのは恋人である彼なのだから、それは無理な話である。その代わりに、鐘を鳴らす彼を間近で見られるし、その後は一緒に過ごせるとポジティブに考えてみたりした。
「敬人くん…今年最後のキスしたい」
きっと、彼からはしてくれないから…自分から彼に飛びついて唇を重ねた。後から長いお説教をされたって構わない。
「敬人くん…今年はありがとう。来年も、隣に居させてね…」
私からの言葉が不意打ちだったのだろうか。視線を逸らされたまま頭を撫でられた。私の想いは伝わっているみたいで嬉しくて笑みが広がった。何故なら…その後、大きく頷いて微笑んでくれたから。
「鐘を鳴らしに行ってくる」
時刻はまもなく24時。時計の針が24時を告げたと同時に鳴り響く鐘の音。少し離れた場所で私は凛とした姿で鐘をつく彼を見守っていた。鐘の音が響くと、この一年で起こった様々な出来事を思い出す。
―「日付け変わっちゃったね」
一仕事終えた彼の元へ走っていって、首に腕を回して顔を覗き込んだ私の唇に彼の唇が重なった。いつもは彼の方からしてくれないから完全に不意を突かれた。
「どうしてそんなポカンとした表情なんだ」
「新年初のキスが、敬人からなんて信じられなくて…」
「そんなに信じられないのなら、もう一度してやろうか…」
END