蓮巳敬人
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―「そんな嫌そうな顔しないでよ」
「名前が度し難い発言をするからだ」
敬人が顔を顰めた理由は、名前の突拍子のない台詞のせいだった。「敬人の匂いの染み付いた服を貸してほしい」と。こんな変態じみた発言には意図があったのだが、そんなこと知る由もない彼はぎょっとさせられたわけだ。恋人とはいえど同じ家に住んでいるわけではなく頻繁に会えるわけでもない故に、こうして彼の家にお泊まりする日は一大イベントも同然だった。風呂上がりの敬人の腕に絡みついて身体を密着させてご満悦の彼女だが、彼は気難しい表情で溜め息をついていた。ここまで温度差があると、付き合っているのに片想いしているような気持ちになってしまう。「恋人の服には睡眠導入剤と同じ効果があるってウェブのトピックで読んだ」と明け透けに説明する彼女は寝付きが悪いことで悩んでいた。敬人と会えない寂しさも相まってぐっすり眠れないのでは?と考えたのだ。そんな時に目にした記事の内容を見事に真に受けているらしい。
「敬人にも私の服貸してあげるから」
「いらん。期待に満ちた目で見るな」
「うーん。やっぱり敬人の匂い安心する〜」
―背中に抱きついて、すんすんと彼の匂いを吸い込んだ彼女がそう呟くなり「変態か貴様は」と敬人が呆れたように告げた。こんなにベタベタとくっ付いているのは、いつまで経っても彼の方から手を出してこないからだ。薄着で誘っているというのに、堅物な彼はそういった欲を見せたりしない。しびれを切らした彼女が馬乗りになり、その目の前でキャミソールを脱いでいく。「名前は恥じらいが無さすぎる」と避難してくるわりには、その視線は白い素肌、官能的な双丘に魅入っていた。「せっかくお泊まりしてるのに、何もしないつもりなの?私、待ってたのに酷いよ」と彼の胸板と肌が重なり合う。彼女が積極的すぎるせいで、奥手な敬人は困らされることが多々ある。何度もそういうことはしている筈なのに、何故か慣れない。恋人を飽きさせないという点でいえば、きっと彼女は満点だろう。と彼は思っている故に、期待に応えないわけにはいかず、胸に触れ乳頭に吸い付いた。手での愛撫と舌先での濃厚な愛撫を繰り返され、我慢していても甘い嬌声が漏れる。
「あ…ンゥ…っ。それ、やだ…ァっ」
彼女が触られて感じるところを熟知している彼は、胸を執拗に攻め、耳朶を食んだ。それだけで身体をしならせて達してしまうのは敏感すぎるが故だろうか。色っぽい表情で自分を煽る姿が愛しくて、敬人のほうから口付けが落とされた。舌を絡めた深いそれに、理性が消え去り、もっともっと、と求めてしまいたくなる。「敬人に激しく抱かれたいな…」と、そのおねだりは嗜虐心を擽った。正常位の体位で男根が挿入され、彼女はそれだけで二度目の絶頂を迎えてしまった。初めて身体を重ねた日から、いつも優しく抱いてくれるのは嬉しいのだが、たまには男の欲を滾らせてほしい。と密かに不満に思っていたからこそ大胆な誘い文句を口にしたのだ。クチュクチュと粘着質な音が聞こえ、イケナイことをしているという背徳に駆られる。蜜壷から愛液が溢れ、彼の律動も止められなくなる程に快楽の波が押し寄せてくる。
「アァ…っ。敬人ぉ……っ」
「貴様が、望んだのだろう…っ」
「らめェ…っ。奥まで、きてるの…イっちゃう…っ」
身を捩らせる彼女は限界に近いのかもしれないが、一度スイッチが入ってしまった彼は、たとえ彼女が嫌がったとしても止めてあげられなかった。月明かりが照らす部屋の中、重なる影がベッドから離れた。彼女を抱き上げた体勢…俗に言う駅●の体位だ。深い繋がりを感じられ、突き上げられるとより一層奥に届く。密着した身体、甘い口付け…それと同時に奥深くを攻められ、彼女はついに声を抑えきれなくなった。このまま溶け合ってしまいたい。そう感じた瞬間に共に絶頂を迎え、再びベッドに倒れ込んだ。慈しむような口付けをして微笑む彼女は幸せそうに彼の名を呼ぶ。
「今夜の敬人凄くよかった」
「随分嬉しそうだな。淫乱な奴め」
END