日々樹渉
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-「ほんと引っ付かないで。さっきから英智くんにめちゃくちゃ睨まれてるんだよ」
「名前の面白さに英智も気付いてしまったんでしょうねぇ!まぁ、名前は私のですけれど」
気付けよ。英智めちゃくちゃ睨んできてるんだよ?日々樹くんに気に入られてる私のこと大嫌いなんだと思うよ。スタプロ事務員の私にとっては上司でもある筈だけど、これだけは言っておきたい。私はずっと拒んでるよ。グイグイくる日々樹くんを冷たくあしらってるんだよ。だって私も事務所のアイドルに手を出すつもりはないし。だけどある日、「私達、両片想いなんですね。それならお付き合い致しましょう!」みたいなノリで今に至るだけだってば。実際、両想いでも何でもないけどな。
「私のことはいいから英智くんのとこ行けば?」
「名前だって私に構ってほしいでしょう〜?気遣い上手はアナタの美点ですけれど」
事務所エントランスで抱きつかれて離れてくれないし、この光景を遠目で北斗くんに見られて憐れみの視線を向けられたこっちの身にもなってほしい。冷たくされると燃えるタイプの彼に私の反抗的な態度は逆効果らしい。じゃあどう接するのが正解なのか…。無言で離れろオーラを出しているのに、私の巻き髪に指を絡めながら愛を囁いてくれるのだから反応に困る。
「今日の服装は色っぽいですねぇ♪名前ってば、私を誘っているんでしょう?」
「ちっがう!」と叫びたいけど言わない。日々樹くんは私に愛されていると信じて疑わないんだよな。一方的に激重感情を向けられているだけ…。しかし、毎日くっ付いてこられると情が湧かないこともなくて。日々樹くんを可愛く思えるようになってしまったから、さぁ大変。
「皇帝陛下、顔こっわ」
「渉が面白がる気持ちがわかったよ」
いや、怖いんですけど。優しい笑みの下にドス黒い感情見え隠れしてるよ。廊下で行く手を阻まれたと思ったら喧嘩売られたんですけど。私が歯に衣着せぬ発言してるから怒ってるわけじゃなくて、さっき私が日々樹くんとベタベタしてたから嫉妬してるんだな。そうだ、私がさっさと日々樹くんと別れちゃえばいいだけじゃん。…と、簡単に考えていたのだけど。
「別れ話をして私の気を惹こうとしてるんですね!なんていじらしいんでしょう〜☆」
「話通じねぇ…」
私が構ってあげないとこの人床を薔薇で散らかすんだよな。だから今、床すごい散らかってる。お仕事帰りのfineを「お疲れ様〜」と労ったけど、日々樹くんをスルーして仕事に戻ろうとしたからな。うん…視線が痛い。さて、本日の業務は…日々樹渉写真集の写真の編集か。誰だこんな仕事を私に振った奴!本人には絶対言わないけど、私といる時こんな顔しないでしょ。メディア向けの顔すぎるわ。
「手品で床を散らかさないの。伏見くん、お掃除ありがとう」
「名前はやっぱり私のことが好きなんですね〜☆」
「ロン毛のこと怒りにきただけなんじゃないの〜?」
もっと言ったれ。この勘違い変態仮面に。伏見くんに迷惑をかけていないか心配になって見に来たら案の定でした。薔薇どころか鳩も飛ばしてたわ。私に抱きついてこようとする日々樹くんの行動を察してか、英智くんが遮るように私の前に立ったんだけどその途端に日々樹くんが急停止したから英智くんは苦々しく顔を顰めていた。この人、日々樹くんへの愛が強すぎませんか。
-「フフフ。こうでもしないと名前は素直になってくれませんからね」
「距離が近い!」
空き部屋に連れ込まれるとは予想外だった。そして、女子の憧れ“壁ドン”を日々樹くんにやられるとは思わなかった。顔がいいのずるいな。英智くんは怖いし、日々樹くんは愛情重たいし逃げ出したい筈なのに、不思議と身を委ねてしまうのは何故なのか。後頭部を引き寄せられて強引に唇を奪われた。…なに、そのすっごい満足そうな顔。こんな日々樹くん初めて見た。
「拒まれるのも燃えますが、そろそろこういうことをしてもいいでしょう?」
END