日々樹渉
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―「元気がない名前さんの為に鳩を出しましょう〜」
私の目の前で白い鳩が飛び、床は薔薇の花弁で散らかった。「名前さんを笑顔に出来るのは私だけですよ」とクソでかボイスと共に現れた彼の名は日々樹渉。え…2.5次元?それともコスプレ趣味の人?それにしてはクオリティ高いな。なんて呆然としてしまった私が、扉を開けて入った部屋は自分の働く部署の筈。だが、どうも様子がおかしい。とりあえず散らかった花弁と鳩の羽を掃除しようと箒を持ってきたら既に掃除をしている人影が…。
「掃除なら私がしますから」
「ここはわたくしにお任せくださいまし」
まさかの伏見弓弦?私の職場はハピ●レさんとは何の関わりもないのですが。現実味のなさに戸惑っていたら、肩をポンと叩かれた。「あなたの日々樹渉です☆」(実際には言ってないと思う)脳内でお馴染みの台詞が流れ、目の前には日々樹渉の美麗なお顔が。疲れすぎて幻覚でも見ているのでは?なんてげんなりした私だが、トリップしたという事実を受け容れざるを得なくなったのはこの人が登場したからである。皇帝陛下こと天祥院英智。
「名前ちゃんお気に入りのルペシアのフルーツティーを手に入れたんだけど、一緒にどうだい?」
紅茶のいい香りに釣られましたわ。というか英智くんに釣られたのか。私が考えることを放棄してフルーツティーでリラックスしていると、首筋に腕を回してきた人物が…。あなたの日々樹渉距離近すぎんだけど。こんなにスキンシップ豊富なキャラでしたっけ?なんて紅茶を飲むことに集中していたら彼の口からとんでもない台詞が飛び出した。「名前は私のですよ。英智と言えども譲れませんね」と。因みに日々樹渉は私の推しではない。もっと言えばfineもべつに推しユニットじゃない。けれども、この世界の私はどういう訳か日々樹渉とお付き合いしているらしい。今も、私のお膝に座りたがった桃李くん(むしろ座って欲しかった)に敵対心剥き出しだったし。
「日々樹くん。大人げないぞ」
「ちょっと!呼び方が戻ってるじゃないですか!やっと名前で呼んでくれるようになったと思ったら」
ショック受けてんのか塩対応されて喜んでんのかどっちだよ。あぁ…そうか。この人冷たくされると燃えるタイプなんだな。と勝手に納得。ひびわたが、思ったより私のこと好きっぽくて心が痛むな。私はエレベーターで18階コズプロ事務所行こうとしたEden箱推し女なのですが。そんな瞳で見つめないでくれ。スタプロ事務員(今の職業)のお仕事が全然捗らないだろ。距離感バグってんな変態仮面。友也くんの気持ちがわかるようになってしまったわ。女子トイレにまで付いてこようとすんな。
「渉にいさんは随分君を気に入ってるみたいだけド、君はどうなノ?」
「ほぅほぅ。なんで夏目くんがここに?」
「君に興味があってきたんだけド。渉にいさんを弄ぶのはやめてほしいな」
弄ぶ?嘘でしょ。逆に私にイタズラ仕掛けて楽しんでたぞあの人。美容院でよく見る頭部だけのマネキン使って脅かされたし、どこでも鳩出すし。五奇人の兄さん達を慕っている夏目くんは、私のような歳上女に渉にいさんが誑かされているんじゃないか。と、心配でここに来たんだろうな。夏目くんには日々樹くんを騙している悪女だと思われてそう。この、どこか疑うような視線はそのせいだろう。推しではないけれど、ずっとベタベタされて情が湧かなくもないし、ひびわたのことは嫌いじゃない。愛だとか恋だとかいうのとは違うかもしれないが。
「セクシーな下着が増えてますね〜!私の為に、下着を新調したんですか!なんて可愛らしいんですか」
「勝手にタンス開けんな」
「照れなくてもいいでしょう〜。そうですねぇ…パープルレースのこれがいいです」
「やる気満々かい」
END