伏見弓弦
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-「名前さん…恋人のわたくしに言うべきことがあるのでは?」
「言うべきこと…?」
優しい笑みを浮かべる弓弦だが、名前はその眼差しには怒気が混じっていることを見抜いていた。伏見弓弦という男は、本音を隠すのが上手い。そんな彼を怒らせてしまった原因は自分であるが故に、頭を悩ませていた。事の発端は、海の家の手伝いをしたことだった。水着の上にTシャツを着て、下もショートパンツを穿いていた。暑さ対策もばっちりの格好で現地に赴いた。この段階では何ら問題は無かったが、仕事をしているうちに暑くなってしまい、上に着ていたものは脱いでしまったのだ。このことを知っているのは、朔間零、2wink、それから流星隊の面々だけだ。その中の誰かを伝ってこの情報が弓弦に伝わってしまったのだろう。fineのレッスン日だった本日、レッスン後に呼び止められた名前と弓弦の会話が冒頭のものだ。
「暑かったし、せっかく海の家を手伝ってるんだから水着になってもいいかなって…」
「恋人のわたくしにすら見せたことのない水着姿を、他の男には見られても構わなかったのですね?」
「ごめんなさい。最初に弓弦くんに見せて許可を取るべきだったね」
彼女の背後は壁であり、嗜虐心で瞳をギラつかせている彼から逃れるのはどう考えても無理だった。所謂壁ドンの体勢で追いつめられた彼女はいつもとは様子の違う彼に戸惑うと同時に、これは嫉妬してくれているのでは?と色んな意味でドキドキとさせられた。「まぁ…判断を仰がれたところで、絶対許可は出しませんが」と当たり前だと言いたげに顔を顰める弓弦。「そんな爽やかな顔して、弓弦くんは案外意地悪だよね」と、何だか悔しくなった彼女は嫌味っぽくそう告げた。だがこの時、名前は毒舌な弓弦に自分が勝てるなんて不可能だと気付けなかった。そして、彼から返り討ちにされてしまうのだ。「わたくしの目の届かない場所では、もし名前さんが危ない目にあっても…助けることすら出来ないのですよ?もっと自覚を持って下さいまし。あなたはわたくしの恋人でしょう?」と頬に手が添えられ、親指の先で下唇をなぞられた。ぴくりと肩を揺らし彼を見据えると、真摯な眼差しと視線が絡まった。
「ごめんなさい。私…自覚が足りなかった」
「わたくしが何故、未だに手を出さずにいると思っているのですか?」
うなじに手が添えられ、至近距離に彼の端正な顔が迫る。やがて触れるだけの口付けを落とされた。付き合ってから、ほんの数回しか交わしていないキス。これだけでは満足出来ないと言わんばかりに次第に口付けが深くなり、舌を絡めた濃厚なものになった。普段穏やかな彼は、スイッチが入ると極端に名前を求めてくるようだ。こんなキスは初めてだった。息を乱している彼女の耳元で、彼は優しく囁いた。「名前さんのことを大事にしたいので、今まで手を出さずにいましたが…もう手加減しませんよ」と。
―「ほぅ…。そんな露出の多い格好でウロウロしていたのですか」
「水着だもん。露出が多くて当たり前…っ」
本日、名前の自宅には彼ら以外は誰もいない。そんな絶好の機会を弓弦が逃すわけがなかった。怪訝な表情で、蔑むような言葉を口にする彼は、水着姿の彼女を抱き上げ、ベッド上に押し倒した。「当日着ていたその水着を見せて頂きましょうか」と弓弦に押し切られ、実際に見せたらこの状況である。身動きも取れず、弓弦にされるがままになってしまう。留め具を外され、顕にされた豊満な胸に彼の唇が重ねられた。先端を舌で転がされたり吸われたり、両胸を交互に攻められ、彼女は下半身をもぞもぞとさせていた。自分の知っている弓弦はこんなことしない筈だった。そんな彼が情欲に支配され、瞳をギラつかせているのは信じ難い事実だった。桃李に仕える執事で、品行方正な彼の姿しか知らなかった故に、自分を求めて雄の顔になっている弓弦を垣間見て、言い表せない高揚感に彼女は満たされた。
「ふ、ァ…っ。好きにして、いいからァ…っ」
後ろから包み込まれる体勢で、わしわしと胸を揉みしだかれ、部屋には淫らな嬌声が響いていく。くりくりと乳頭を愛撫され、首筋に甘く吸いつかれ彼女は弓弦に翻弄されていた。その反応に、ご満悦の様子で彼は呟く。「ずっと、こうして貴方に触れたかったのですよ…」と。「あの…っ。私、初めてなんだけど…っ」きっと弓弦は経験者なんだろうな。と、少しだけ嫉妬しながら彼女は声をあげた。優しくしてくれなくてもいい。弓弦が満足してくれたらそれでいい。と思っていたのだ。だが、彼が発した言葉は想定外のものだった。「わたくしも、こんなことをするのは初めてなのですが…優しくしますから」と。私の恋人はなんて愛おしいのだろうと、振り返った名前が弓弦に抱き着いて彼女のほうからキスをした。「私はどんな弓弦くんも好きだから、優しくなくてもいいよ。弓弦くんの、頂戴」と可愛らしい表情でねだってくる名前はなんて可愛いのだろうと彼はもう抑えきれる気がしなかった。
「アァ…っ。もっと、激しく、突いてェ…っ」
「初めてなのに、いやらしい方ですね…っ」
水着は完全に剥ぎ取られ、彼女は一糸纏わぬ姿となっていた。卑猥な水音、二人の乱れた息遣いが部屋に聞こえる。名前は枕を握りしめ、その快感に耐えていた。バックの体勢で弓弦は彼女の腰を掴みピストン運動を続けている。まるで無理矢理抱いているようなシチュエーションは彼を昂らせ、興奮を煽る要素となっていた。締め付けてくる名前のナカが気持ちよすぎて、優しくするなんて無理だった。正常位に体位を変えると頬を赤く染めて自分を見遣る彼女と視線が絡んだ。
「弓弦の、しゅごいの…っ。ァン…っ」
「はァ…っ。わたくし、もう、限界で…っ」
ずっとこうして抱きたかった。大事にしたいのは本当だが、手を出さずにいるのは苦しかった。というのが彼の本音だった。恍惚とした表情で、腕の中に収まっている彼女を、彼は割れ物を扱うように優しく抱きしめた。「腰が痛い」と言っているのを聞くと無理をさせてしまったかと罪悪感もあったが、幸せそうに笑顔を見せる名前と目が合うと何もかもが必然的なものだったように思えた。子猫のように甘えてくる名前を抱き、彼の方から唇を重ねた。「弓弦くんに抱いてもらえて、すごく幸せだった」と嬉しそうに微笑む彼女を…愛おしいと、なんて可愛いのだろうと弓弦は身悶えた。
END