日々樹渉
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―「アンタまた後輩に無理強いして衣装着せたらしいじゃない。いい加減にしなさいよ!変態仮面」
「名前さんの怒り顔も中々可愛らしいですねぇ。アメージング!」
私は同じクラスの日々樹渉が苦手である。このクラスには『三奇人』が勢揃いしているが、無駄に絡んでくるのは日々樹だけだと思う。だが、不本意な事に演劇部の後輩からのタレコミが私の所に寄せられている。
「名前が日々樹くんに冷たいのも相変わらずじゃな。ちっとは仲良く出来ないものかのう?」
「だってコイツのせいで演劇部の子達困ってるし、可哀想で見てらんないよ」
「演劇部の部員達も名前さんによく懐いていますよ。流石は私の名前さんですねぇ~」
「おい、待て!私はアンタのものになった覚えはない!ふざけるな変態め」
「名前は渉ちんが嫌いなんらな」
仁兎くんは「可愛い」と言われるのを嫌がるけれど可愛いものは可愛い。あの変態のせいで荒んでいた心が彼の効果でかなり癒された気がする。私よりも背の低い仁兎くんに抱きついていたら肩を引かれて引き離された。
「名前さんてば、私に焼きもちを妬かせようとしていますね。私以外の男に抱き付いていないで、素直に抱きついてくれて構わないのですよ?」
ほら、やっぱり「貴方の日々樹渉です」とか言い始めた。高身長で美形なのに残念な人だよなぁ…。と心の中で呟いた。その間にも彼は腕を広げている。私が抱きつくのを待っているかのように。
―「私に電話してくるなんて、またあの変態がやらかしたのね」
電話をかけてきたのは真白友也くんだった筈だ。それにも関わらず、演劇部の部室に駆けつけた私の前には日々樹渉しかいない。くそぅ…騙された。
「友也くんのフリをして貴方に電話したのは、私でした。驚いて頂けましたでしょうか?」
「別に驚いてないけど。どうして呼び出されたわけ?」
「貴方に用があるからに決まってるでしょう」
日々樹の用事とやらは私に似合う衣装があるから着てほしいとの事。しかし、私がこれを着れば後輩への被害が減るかもしれない。仕方ない。着てやろうじゃないの。
「おい、変態仮面。こんなきわどい衣装を着せるなんて…」
「私の思った通り、名前さんによくお似合いですねぇ。アメージング!」
脚も胸元も露出したきわどいドレス姿の私に近付いてきたと思ったら、腰に腕を回された。逃げようにも、逃げられずジッとしている他なかった。日々樹は意外と力が強かった。
「愛していますよ。名前さん」
こんなに嫌いな奴にキスされてるのに、抵抗すら出来ないなんて…。日々樹と交わす深い口付けに酔わされるなんて…。いつもの私のペースを乱す日々樹渉の事はやはり苦手だ。
「アンタなんて、大ッ嫌いよ!変態め!」
「待…っ。アイドルは顔が命…っ」
思いっきり平手打ちしてやった。アイドルとはいえ、私のファーストキスを奪った罪は重い。着替えて、部室を飛び出した私は全速力で学院の門を通り抜けた。
「アイツとのキスなんて…カウントしないんだから!」
「この私に平手打ちするとは、素晴らしい!惚れ直しますねぇ…」
END
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