バレンタイン2024
名前
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-「テストのご褒美で食べてるの〜」
コンビニスイーツのプリンアラモードをもりもり食べる私に向けられる冷たい視線。私はお兄ちゃんと違ってモデルじゃないし、一般人なので許してほしい。私の兄の名は瀬名泉。人気アイドルでありモデルもしている。しかし、意識高い系な兄と違って私は甘い物大好きな普通の女子中学生である。美形な兄とは違い顔面偏差値も普通だと思う。
「部活してるから〜とか言いながら、食べ過ぎ。なんか顔丸くなったみたいだし」
「むぅ〜…。人が気にしてることを」
毎年バレンタインで兄が貰ってくるチョコは私が食べなければ確実に捨てられているだろう。手作りはちょっと…ってなるのは分かるが、中には高級チョコも紛れていたりするのに。「バレンタインでこういうの渡してくる女子ってチョ~うざぁい!」とか思ってそうだよなぁ。
「お兄ちゃんは、例え彼女から本命チョコ貰っても食べなそうだよねぇ」
兄の彼女には…今まであったことは無い。でもきっと、私の知らないところで付き合ってたりしたんだと思う。きっと歴代彼女達は兄にそういったものを贈ってこなかったんだな。と、勝手に推測したりして。勝手に落ち込んで、馬鹿みたいなんて自嘲気味に笑ったり。思春期の女子の感情ってみんなこんな感じだろうな。
「それって男にあげるの?」
「おしえな〜い!」
私がキッチンで料理をしていたら帰宅した兄に訝しげにそう訊かれ、曖昧な返答で流した。彼氏なんていない。だからこれは友チョコと家族にあげるチョコである。ローカロリーで甘さ控えめなスイーツのレシピを調べて作ってみたけれど、兄はきっと食べてはくれないだろう。それならば、父と母に渡して残った分は自分で食べてしまえばいい。
「名前ってお菓子作り得意じゃなかったでしょ?手伝おうか?」
「手伝わなくていいの!」
モデルは自分で料理したりするのが普通なのか。兄は私よりもずっと料理上手なのだ。自分は食べないくせにお菓子作りも出来るし、何でもできる。それに比べて私は鈍臭い妹。血の繋がりを疑いたくなるレベルで似ていない。でも、嵐くんには「泉ちゃんにそっくりねェ」と言われたな。どこが似てるんだろ。
「こんな可愛くラッピングして…絶対男にあげるに決まってる…もしかして、俺の知ってる奴に…?」
「私、男子にはチョコあげる予定ないから」
「ふぅーん」なんて興味なさそうな相槌を打ちながら、私が今まさに食べようとしていたクッキーをぱくりと食べられた。兄に倣ってローカロリーを意識して作ったおからクッキー(ココア味)は兄の口に合うだろうか。「そんなに食べて、ブタになるよ」と言われたことがあるだけに、戦々恐々としていたが、「これって俺のために作ったんじゃないの?」と自信ありげに訊かれた。
「だって…お兄ちゃんはお菓子なんて食べないでしょ?」
「名前が作ったものなら食べるよ」
なんで私が持ってるやつを食べるのか…。トリュフチョコは自分用に作ったものだったんだけど。食べようとした途端手首を引かれて、それは兄の口の中へ。指に唇触れたよ。「ありがと。名前」と微笑む姿はさすが人気アイドル。でも、この後キャラが崩壊した兄に「良い子良い子っ♪」と撫で撫でされて無駄にドキドキした。
「俺の妹がチョ〜可愛いんだけどォ」
「突然のデレ」
END