バレンタイン2024
名前
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※この話の続編です。↓
積極的なHiMERUのクリスマス
-ファンレターにお返事もくれて、ファンを大事にしてくれるHiMERUくんがその人達からのバレンタインチョコを断れるわけない。だから、私のチョコもそれらと同じに思われるのか。「HiMERUの好きな人は名前さんなのですよ」と告げられたあの夜からずっと、彼のことを考えている。だが…クレビのヘアメイクを担当することもなく、絡みがなくてあれから顔を合わせていない。あの夜の出来事なんて忘れたほうがいいのかもしれない。とすら思っていたのに…。
「あ…っ!?それは…ダメです…っ」
中学時代に友チョコなるものを作ったなぁ…なんて。私が昨晩、暇潰しがてら作ったトリュフチョコ(溶かして丸めて固めてココアパウダーをまぶしただけの)をひょいっと摘んだその指は長くて綺麗。会いたかったようで会いたくなかった彼がそれを口に放り込んだ。ここは珈琲休憩でよく来る場所だ。簡易的な休憩テーブルと椅子が置かれているだけのスペース。ここで彼と遭遇したのは初めてだ。
「何がダメなのですか?とても美味しいのですよ」
「そんなっ私の手作りチョコなんてお腹壊すかもしれないし。そもそもHiMERUくんのチョコはこっちに用意して…っ」
「名前さんがHiMERUの為にチョコを…!?」
本日、バレンタインデー。この人気アイドルは、きっと大量にチョコレートを貰っているに違いない。それなのに、私ときたらふらっと立ち寄った百貨店のバレンタイン特設会場で某有名店のトリュフチョコを購入したのだHiMERUくんにあげる為に。本当にあげるかどうかは決心していなかったけれど、今目の前にいるしな。
「貰えるならば、HiMERUはこちらがいいのですよ」
「え…!そんなあんまり美味しくないチョコを…!?」
「名前さんの料理の腕前は椎名も保証していたのです。食堂で調理を手伝ったことがあるのでしょう?」
一般的な家庭料理は作れるけれど、それはお菓子作りが得意ってことにはならないんだよなぁ…。HiMERUくんて天然か。彼に見つめられるとあのクリスマスの夜を思い出して逃げ出したくなる。あの告白が本当なのか確信は持てないし、彼は付き合っていない女性とでもキスをする女たらしなのかもしれないし。イルミネーションで彩られた街をデートしたり寒空の下で抱きしめられた夜の思い出は、私の見た夢の中の出来事だったのかもなんて。
「俺の気持ちを分かっていて、その態度なのですか?」
「私は…っHiMERUくんには相応しくないし…っ」
私の手作りチョコを受け取った彼があまりにも幸せそうな顔をするから、胸が苦しくて何だか泣きたくなった。逃げようと席を立ったら壁に押し付けられて退路を絶たれた。HiMERUくんに顎を掬われ強制的に視線が絡む。
「クリスマスの夜から…私はHiMERUくんのことをすごく意識してます」
「それなら、そのまま俺のことを好きになってください」
意識しているとか、きっとそのレベルじゃない。私はとっくにHiMERUくんを好きになっているんだ。でも人気アイドルのくせに、一般人の私にこんなに好き好きアピールしてくるのもどうかと思うぞ。「名前さんが可愛すぎて抱きしめたい衝動を抑えきれないのです」とか言って抱きしめるどころかどさくさに紛れて唇を貪られた。HiMERUくんて肉食なんですね。
「チョコの味がする…」
END