スタイリスト
名前
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-「こんな滑りやすそうな地面を走るな」
本日、遅刻しそうになってESビル近くのツルッとしたコンクリート地面の上を駆け抜けた私。雨上がりで地面が濡れていたせいで尻もちをついてずっこけた。そしたら、いい感じの眼鏡男子が声をかけてくれたんですよね。手を差し伸べてくれて優しいかと思いきや、冒頭の台詞を言われてまさかの説教だった。私のトキメキを返してくれ。初対面のイケメンに怒られるとか…。
「これはあれですね。少女漫画でよくあるやつ」
「言わんとしてることはわかる」
ESでのスタイリスト業で初めて着付けのお仕事が舞い込んだ。つまり相手は和風ユニット紅月。今回は雑誌の撮影だとか。楽屋の扉を開けるや否や、今朝私に説教してきた眼鏡男子くんがいた。勿論、紅月のメンバーとは今まで全く絡みがなかった。昔の少女漫画でよくありそうな展開。曲がり角でぶつかった相手が実は転校生で、『あの時の…』みたいなシチュエーションにそっくりすぎる。
「名前殿は蓮巳殿とお知り合いであられたか」
お知り合いとはちょっと違うかもね。いや…この子、銃刀法違反では…?なんて一瞬思ったけど和風ユニットだし武士系アイドルなのか。(なんとなく納得)説教アイドルの名は蓮巳敬人くん。そして帯刀している彼は神崎颯馬くん。髪の毛長いけど手入れが行き届いてて綺麗だな。とか思うところあったけど、やっぱり歩く銃刀法違反ですよね。
「すごいな。嬢ちゃんは着付けが出来るのか」
歳上である私を嬢ちゃんと呼んだ彼は鬼龍紅郎くん。コワモテかと思いきや、手馴れた様子で衣装の微調整をしてくれたし、君はおかんか。お裁縫もできるなんて、女子力高すぎるよ。ヤンキーチックな風貌なのに、意外性ありすぎました。私と蓮巳くんの出会いを説明したら「いきなり蓮巳に説教されたのか」と同情してくれてとても良い子だった。
「これだけサラサラ髪だと逆毛立ててアレンジするのも気が引けるね」
「名前殿に褒められて嬉しいのである」
サラサラすぎてやりづらいよ。銃刀法違反…とか話題には触れられず、神崎くんのスタイリングを終えたんだけど、この子可愛いな。「名前殿の技術はすごいのである」ってめちゃくちゃ褒めてくれたし。説教オタク蓮巳くんとはえらい違いだな。(失礼)
「当たってるんだが…」
ちょっと後頭部に胸当たったからってこんなに説教されるとは…。蓮巳くん説教好きだな。これくらいで照れるなんて女子に免疫ないのかな。そういえば、茨くんにも同じ状況で文句を言われたし、私が悪いのか。でも女の子に耐性無さそうなのは明らかにこちらだな。
「蓮巳の旦那が照れすぎて無言になってるじゃねぇか」
ピュアかよ。蓮巳くん可愛い。蓮巳くんお肌綺麗だし、鬼龍くんは女子力高いし、神崎くんはサラツヤ髪だし、私の完全敗北だな。それにしても、和装男子っていいですね。全員のスタイリングを終えて、撮影風景まで眺めてしまうレベルで性癖なんですけど。品があって凛々しくていいな。
「なんと。名前殿は有段者であるか」
「嬢ちゃんは見かけによらず武道経験者か」
中学時代に剣道部だったから神崎くんと共通の話題があってよかったけど、なんか勘違いされてるよ。段所持者といえど、初段しか持ってないんですよね。有段者扱いされたらすごい強い奴みたいな風になってしまう。でも警戒心を解いてくれた神崎くんが可愛いからよしとしよう。
「妹さんの髪型アレンジ…?鬼龍くん優しいお兄ちゃんだなぁ」
妹さんのヘアセットやってあげたいから教えてほしいと鬼龍くんに頼まれたけど、微笑ましすぎるよ。…と、ここで私気付いちゃった。紅月と仲良くなれたような気がしてたけど、蓮巳くんとは説教以外に会話してないな。アイドルに説教されるとか何事…!?そんな蓮巳くんとはその後カフェで偶然出会ったんだけど、ソイラテ飲んでただけで訝しげな視線向けられたのなんで…?
……To be continued
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