スタイリスト
名前
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―「スタイリスト雇うと金かかるから私をこき使うつもりですね」
「元美容師なんだから得意分野だろ?」
私がESビルで働くようになった理由は佐賀美陣氏の従姉妹だからである。アイドルのヘアメイクなんてプロに任せればいいのに私がやればお金かかんないから雇ったんだろうな。まぁ、美容業は薄給だからESで働くほうがお金貯まるしいいけど。そんな私の主な業務ははESでの事務に加え、メディア出演や撮影等の仕事のあるアイドル達に付き添って彼らのヘアメイクを担当したりしている。だが、私自身ドルオタでもなければミーハーでもないので、アイドル達の“人となり”を全然知らなかったりもするわけで。今回担当したのは初めましてなユニット…ヤンチャっぽいイメージのクレビの面々だった。ニキくんとは絡みはあったけれど、他の子はほぼ初対面だ。
「ニキくんは今日も可愛い」
「燐音くん。名前さんを邪(よこしま)な目で見るの禁止っすよ」
「だーって、名前ちゃんの乳が後頭部に当たったんだから仕方ないっしょ」
気を付けていたつもりだけど、燐音くん身長高いからメイク前のマッサージの時に当ててしまったのかもしれないな。プロとして如何なものかと思ったから謝ったけれど、燐音くんは嬉しそうだったしこはくくんからは「燐音はんなんかに謝らんでえぇよ」と言われた。
「HiMERUくんお肌すごい綺麗ですね」
HiMERUくんは某化粧水メーカーの広告塔なので男性なのに肌に透明感ありすぎる。負けました。と、密かに敗北感に打ちひしがれたよ。「天城がすみません」と代わりに謝罪してくれたし美形だしキミは王子様か。「今、こはくちゃんの頭にも乳当たってたっしょ」とか横から監視してくる燐音くんのセクハラにはもう慣れた。その隣で「お腹空いた」とぼやいているニキくんには近所のパン屋で買ってきたパンをあげた。だからニキくんは必然的に一番最後の順番で、他の皆はヘアメイク完了した。
「名前姐さん僕にいつも美味しいものくれて優しいっすね」
「ニキはんは餌付けされとるんかい」
「餌付け大歓迎っすよ」
燐音くん以外は人畜無害な子達なので気を許していたら、その燐音くんが近付いてきてこの台詞である。「名前ちゃん彼氏いる?」と。悲しいことに長らく恋愛もしていなければ彼氏もいない。なんて…暴露するのも癪なので「今はいません」とちょっと前はいた風に言っただけなのに燐音くんに「じゃあ俺っちと付き合おうぜ」と軽く提案されて私は口を噤んだ。アイドルなんだから軽々しく付き合うとか言わないほうがいいと思うぞ燐音くん。
―「クレビが問題児扱いされてるのって殆どリーダーのせいじゃないですか?」
「なんだ。何か言われたのか?」
「元人気アイドルの陣さんだって独り身なんだから、私に彼氏がいなくたっておかしくないですよね」
「俺を基準にして安心するな」
現役時代はかっこよかったのに、今やだらしのない大人になってしまった陣さんには少しがっかりしている。しかも年の離れた従姉妹には塩対応ときた。
……To be continued
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