HiMERU
名前
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―仕事上の付き合いで、強くもない酒を飲まされ、キャパオーバーしてぶっ倒れた彼女を介抱してくれたのはコズプロ所属のアイドルHiMERUで。優しく紳士的な対応、抱き抱えて運んでくれた時に触れた掌の感触が忘れられない。自分の事務所のアイドル相手にこんな邪な感情を持つのはいかがなものかと理解しているつもりだが、彼を前にすると抑制が効かなくなってしまうらしい。
「HiMERUさん。今日もかっこいい…」
「名前さんはお世辞が上手いのですね。なんだか照れてしまいます」
廊下でばったり彼に会えて、朝からついてるかも。なんてウキウキしている彼女に思わぬ横槍が入った。HiMERUと同じユニットの天城燐音だ。「メルメルと名前ちゃんってそういう関係かァ?」と茶化されて困惑した表情を浮かべるHiMERUとは裏腹に、彼女はにっこり笑って答えた。「そういう事にしといてください」と。
「名前さん!何を仰るのですか。そんな関係では…」
彼女の手を握り足早に歩く彼は、燐音から離れた場所で名前を叱っていた。しかし、体勢は壁ドンというやつなので、彼女は置かれている状況も忘れて大歓喜していた。
「HiMERUさんったら…。一晩を共にした仲じゃないですか」
「酔い潰れた貴方を介抱しただけでしょう?誤解なのですよ」
「あの状況でも手を出さなかったHiMERUさんが好きです…」
「HiMERUは苦手です」
即答である。だが、それには十分すぎる理由があった。「無防備に脱ぎ始めるし、ベッドに引きずり込もうとするし…」と、口にはしないが、あの夜の事を思い出した彼は苦々しく眉を顰めていた。酔っていたせいで彼女自身は覚えていないのでタチが悪い。「あの時のお礼をさせてください」と申し出るところまでは、律儀だな。と心を許しそうになるが、彼は苦手という言葉を撤回することはない。
「お礼は身体で返すっていうのも…」
「どうしてそういう下品な方向に…。はしたない話は嫌いなのですよ」
―時は昼下がりのシナモン。落ち込む彼女の向かいには天城燐音が。「HiMERUさんに嫌われてしまった。もう生きていけない」という呟きを聞き、楽しげに微笑む燐音が思いがけない台詞を放った。「俺っちが今晩慰めてやっから、落ち込むなって!」と彼の言う慰めとは、身体を重ねるということを暗喩していた。すると、そんな場にひとつの足音が近付く。「メルメル。怒るならお前が抱いてやればいいじゃねーか!」という言葉の途中で唐突に現れたHiMERUが燐音の頭を掴んだ。
「抱きませんよ。下品な話はおやめなさい」
END