HiMERU
名前
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※この話の続編です。↓
恋人のフリで既成事実を作るHiMERU
-「“干物女と人気アイドルがひょんな事から〜”なんていうドラマありそうだよなぁ」
うちの事務所のアイドルHiMERUくんに、私の母の前で(勝手に)彼氏のフリをされてから数日が経つが、相変わらず私の家に入り浸っている。同棲してる?ってレベルで泊まっている。そりゃキスされたりしたし、本気なのだと思いたいけど…。HiMERUくん程の美形が私に惚れるわけないよな。と…未だにドッキリとか騙されている。という可能性を捨てきれずにいる。しかし、そんな心配とは裏腹にHiMERUくんのセクハラがヤバすぎる。
「お料理中にセクハラとか…」
「このスカート、ラインが浮き彫りでいやらしいのですよ」
だからって触るかね。そう…HiMERUくんは爽やかな顔してセクハラがすぎるのだ。まだカラダの関係になってもいないのにどういうこと!?なんて、混乱しながらトントンと葱を刻んで小鍋に入れる。彼からのセクハラを受け流す為に家事に集中するしかなかった。しかし、味噌汁を作り終えてサラダを盛り付けていたら、動きを封じられた。後ろから抱き竦められる…バックハグというやつである。
「名前さんにはこうしたほうが良かったでしょうか」
「HiMERUくん…っ。私をからかいすぎ」
ふと視線を向けてみたら、キュルン系のチワワのような瞳と目が合って正面から抱きつかれた。そして唇を奪われ貪られた。唇を離した彼がまるで恋する乙女みたいな表情をしていたから、怒るに怒れず。ぎゅうぅっと抱きしめられた。全然離れてくれないな。ハグ魔なのかキス魔なのか。漸く離れた彼の指先が私のエプロンの紐を解いた。些細なことなのに、想像が膨らんでしまって胸が苦しい。
「私、熱々お味噌汁よそってるし危ないんですけど」
セクハラはどんどん際どくなっていくのに、カラダの関係を持つことはなく…ってなんともチグハグだ。今も膝に乗せられて抱きしめられて動けずにいるし。左腕がお腹に回されて逃げられない上に、もう片方の手はカップ付きのキャミソール越しに敏感なところを刺激してくる。掠めるような触れ方もカリカリと引っ掻くようなそれも私の下腹部をじわじわと切なくさせる。
「HiMERUくんはセックスがしたいんですか?」
「こんなに可愛い名前さんを、汚すなんて無理なのですよ」
まるで前戯ともとれることをしているくせに、頑なに手を出してこない。私処女じゃないのに、神聖なものとして扱われてる。HiMERUくんは私を理想化しすぎなんじゃないですか。今夜こそ、と期待していたのに一人きりで寝室に連行されて思わず唇を引き結んだ。彼はキス以上のことは望んでいないのか。
「昨日も何もなかったな…」
ベッドが広い。シーツが冷たい。なんて虚しくなって溜め息をついた。キスの感触を思い出すように自分の唇をなぞってみる。性的に見ていないとしたら、どうしてあんなキスしたの?どうして抱きしめて離してくれなかったの…?HiMERUくんのことを考えるだけで泣きそうになる。私は騙されてる?遊ばれてる?
-「HiMERUくん…私まだすっぴんだからさ…」
「メイクしなくても可愛いのですよ」
「そういうのやめて」
ベタベタしてくる彼のことを今日初めて拒絶した。「素顔も可愛い」と褒めてくれたのに、冷たくあしらって。私はHiMERUくんを好きになるのが怖かったのだ。「可愛い」「好き」と伝えてくれるのに、疑ってばかり。こんなに可愛くない私のことなんて嫌いになればいいのに。
「…〜っ。なんでうなじにキスしたの?」
「そろそろ、俺にドキドキしてほしいのですよ」
え、私ずっとドキドキしてるのに…。「名前さんはキスにも動じていませんでしたし、HiMERUを男として意識していないのでしょう?」とか言われてしまった。ていうか、職場でもセクハラとか…さすがに肝が冷えるというかなんというか。HiMERUくん通常運転すぎる。
「メルメル〜。名前ちゃんにあのこと言わなくていいのかァ?」
「名前さんはそういうの気にしないでしょう」
通りがかりに、HiMERUくんと燐音くんの不穏な会話が聞こえた。HiMERUくんがドラマで女癖の悪いヒール役をやっていること、キスシーンもある役柄なこと…私はちっとも知らなかった。「気にしない」なんて勝手に決めつけて。HiMERUくんてば私のこと何にも分かってない。
「どうして失恋ソングなんて流してるんですか」
ドラマの収録とかで忙しくしていたHiMERUくんは暫く私の家に来ることがなく。久々の安寧の地で暗い曲をBGMに洗濯物を畳んでいたらHiMERUくん登場。BGMはストップした。「二日ぶりの名前さん…っ」とか言われて抱きつかれた。そんなに長い時間離れていたわけじゃないだろ。HiMERUくんは…たとえ演技でも私以外の誰かとキスしたんだろうか。なんて、醜い嫉妬に嫌気がさす。終始無言でいたけれど、彼はただ私をぎゅうっと抱きしめるだけだった。
「私さ…HiMERUくんのこと何にも知らないんだ。好きな人のこと、何も知らないなんて馬鹿みたいでしょ?」
今度は私が伝えるべきだ。「HiMERUくんが他の誰かと、たとえ演技でもキスするって知って嫌だと思った」と明け透けに告げて彼の唇を奪ってみる。ほんの一瞬触れるだけの口付け。だけど、効果は覿面だったようで、熱烈ハグで歓迎され遠慮のなくなったHiMERUくんに組み敷かれた。
「俺のことが知りたいのですか?名前さんを大切にしたくて、ずっと我慢していたのですよ」
「ドラマを視聴してしまった名前さんがHiMERUのラブシーンでダメージを受けていたのが可愛かったのですよ」と私の恥を語るHiMERUくんはとても饒舌だった。大切にしてくれてはいるけれど、据え膳は食うんですね。
END