HiMERU
名前
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
-「名前さんとお付き合いさせていただいております。HiMERUと申します」
人気アイドルが私の彼氏のフリをしてくれている…。今日はお休みで母とカフェで待ち合わせをしたのだけど、待っている間にうちの事務所のHiMERUくんと出会い、喋っていたらそこに現れた母に勘違いされて…というのが今の状況だ。彼はアイドルで…と説明しようとしたのに「あら。名前の彼氏かしら?」と聞かれドヤ顔で「そうです。恋人なのです」と答えられて私は絶句した。
「こんな美形が私の彼氏なわけないだろぉぉ(心の叫び)」
「名前には勿体ないわねぇ」
いや、疑わないのかよ。こんな美形が私と付き合ってくれるわけないだろ。さすがアイドル。おばさんウケいいな。母にも気に入られて「今度うちにも遊びにいらっしゃい」と言われてしまったし。こんな誇らしげに彼氏です感を出されると否定しづらくて口を挟めないまま母とHiMERUくんだけが盛り上がっていた。いい歳して彼氏のいない私の為に話を合わせてくれたのかもしれない。ていうか、変装のサングラス取ってよかったのか?彼の変装は帽子とサングラスだけだったから、なんか私が心配になった。
「HiMERUくんは名前の手料理は食べたことあるのかしら?」
「名前さんの手料理…楽しみなのですよ」
なんで一緒に暮らす流れになってるんですかね。確かに食堂のお料理はニキくんが作っているし、私はホールスタッフだもんね。私の手料理なんてニキくんの手料理に比べたら大したことないと思うよ。なんだかいたたまれなくて、HiMERUくんの顔面をチラ見(目の保養)しながらアイスコーヒーをチビチビ飲んで気を紛らわした。
「一緒に暮らす…って…役作り?」
HiMERUくんまだ彼氏のフリ続いてるんですか。「名前さんのお母様にも薦められましたし、HiMERUと一緒に暮らしましょう」と、あのHiMERUくんがノリノリだったので断りきれず、私は身を委ねた。もしかしたら役作りの為かもしれないし。
「うん…役作りの一環じゃないと私にこんなことしないよね」
「役作り…?」とキョトンとする彼から衝撃の真相が明かされた。「ただ俺は名前さんの恋人になってみたくて話を合わせただけなのです」と。ソファーで横からぎゅうっと抱きしめてこられたから、ちょっと嫌味みたいに「ドラマの役作りなんでしょ?」と言っただけなのに。え、HiMERUくんは私のこと好き…ってことでいいの?こんな美形が?意外と趣味悪いな。
「普通、ドラマでこんなことしないよな」
私の晒された二の腕に唇を寄せて甘えてくるHiMERUくん可愛い。彼女の二の腕はむはむしてくるとか役作り…?みたいにモヤモヤとしていたら、「役作りじゃないのですよ」と怒られた。そしてソファーの上で押し倒された。まじかよ。一瞬で私の唇を奪った彼は「俺の本気が伝わりましたか?」と、にやりと微笑んだ。あれ…?一人称『俺』でしたっけ?
「HiMERUくん。抱きつかれると料理しづらいんですけど」
「名前さんが近くにいると…つい、こうしたくなるのですよ」
抱きつき魔…じゃないな。キス魔か。腕の中に閉じ込められて唇を奪われ、そのまま唇を割って進入してきた舌に絡めとられるような口付けをされて、無言になってしまう私の前で彼は優しく笑った。こんな濃厚でエッチなキスしといてその余裕…。かと思いきや、この後壁に押さえつけられて余裕のない口付けをされまくった。
「HiMERUくんて、やらしー」
「嫌だったら抵抗してくださいね。俺は名前さんが可愛すぎて歯止めが効かなくなっているのですよ」
私にも拒否権はあったんですね。まぁ、こんな幸せな状況で拒んだりしないけど。HiMERUくんにベタベタ絡まれながらの夕飯、作りづらかったよ。
「美味しいのですよ」と満面の笑みで褒められたら全て許せたけどね。ニキくんの料理を日常的に食べていたら私の手料理なんて物足りないだろうに。
「無防備すぎるのですよ」
風呂上がりに薄着でウロウロしていたら行く手を阻まれ、追いつめられた私はまたもや腕の中に拘束された。HiMERUくんと暮らし始めて心臓が苦しい。さて、この際だから訊きたかったことをきいてみよう。曖昧な関係を続けるのも気が引けるし。そもそも、アイドルが一般人と付き合ってるのも大問題なわけだし。
「意識の高いHiMERUくんが私みたいなのと付き合ってていいの?」
「確かに、アイドルとしては褒められたことではないでしょうね」
耳元で甘い言葉を囁かないでほしい。むしろドッキリであってほしかったかもしれない。HiMERUくんが私に片想いしてたとか信じられなさすぎるから。あ、でもニキくんは知ってたっぽい。だからHiMERUくんが来た時めちゃくちゃ接触持たそうとしてきたんだ。
「もう引き返せない程惹かれているのです。名前さんは俺のこと、少しも好きじゃないのですか?」
ずるいな。熱の篭った眼差しで見つめられたら拒絶なんてできる筈もない。私のほうから抱きしめて「好きだよ」と告げると力強く抱き竦められて官能的な口付けをされた。でもさ、こんなにエッチなキスをしてくるくせに私がその先を促すと「まだ早いのです」とか言われて私が悪いみたいになるのなんで?
「HiMERUくんのここは正直みたいですが」
「〜…っ!触ったらダメなのですよ」
END