HiMERU
名前
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※短め
―「何故HiMERUから逃げるのですか」
そんな切なげな表情で見つめないで。彼…HiMERUくんと私は幼馴染みというやつらしい。…というのも、この世界にトリップした身である私の記憶の中に幼少期の彼がいたからである。ショタHiMERU可愛すぎた。そしてトリップ女だから、彼の弟の要の存在も存じているわけだ。しかしだ…彼の本当の名がわからない上にどうやっても思い出せない。目を閉じ、この世界の自分の幼少期を思い浮かべてみるとそこだけノイズが走る。さて…現在、転職してESビル食堂の従業員となった私は、そこで幼馴染みのHiMERUくんと再会。というのが今の状況なわけだが…。
「HiMERUくんを拒絶するなんて何事っすか?」
「モブ顔地味女の私がHiMERUくんに近付いていいわけないじゃないですか…」
と、いうのは建て前で。“幼馴染みなのに彼の本名は思い出せないし要の話題には触れていいのか不明。ヘタなこと言って彼を傷つけたくない。私はHiMERUくんとどう接するのが正解なんですか?”というのが本音である。私がHiMERUくんを避けているのを目撃した同僚ニキくんが心配して声をかけてくれた。「なんで卑屈になってるんすか。名前ちゃんは可愛いっすよ」と褒めてくれるの優しすぎるし笑顔が可愛すぎる。
「そっちの可愛いおねーさんは初めましてだよなァ?」
実物の燐音くんはなんかチャラいな。クレビのチャラさを底上げしてるのはこの人のせいだな。なんて、ヲタク的分析をしていたら肩を抱かれて密着されていた。そしてセクハラ発言である。「可愛いっつーか、エロかわ系?」と。私は可愛くもなければエロ系でもないと思うが…。一部始終を眺めているニキくんが、私の背後に視線を向けて目を輝かせているのは何故だろう?なんて、固まっていたら彼の声が耳に届くと同時に腕を引かれた。
「天城。名前を離してもらえますか」
HiMERUくんだ。声冷たいし視線が鋭くて怒ってるっぽいし、そりゃ燐音くんもビビるよ。かくいう私自身が一番ドキドキしてるんだけどね。「HiMERUくんグッジョブ!」みたいな反応をしてるニキくんと「名前ちゃんてメルメルの彼女だったりする?」と、困惑してる燐音くんをよそに、彼は空き部屋に私を連れ込んだ。そして何も会話のないままぎゅうっと抱きしめられた。HiMERUくんの温度と匂いに包まれて幸せなのに、胸には切なさが募るだけで。
「あなたが愛しているのは、HiMERUであって俺じゃないことなんてわかっているのですが…」
腰を抱かれ、後頭部に回された手は少々乱暴にグッと頭を引き寄せて唇が重ねられた。同意もなしに奪われたといったほうがいいのだろうか。泣きそうな顔で、何度も何度も貪るような口付けが繰り返される。口腔を蹂躙するようなそれに、息が止まりそうになった。「好きですよ。ずっと前から」と、掠れた声で愛の告白をしてくれる彼は、私を力強く抱き竦める。なんか、私が弟の要のことを好きなんだと勘違いされているみたい。だから、要があんなことになって罪悪感に苛まれているんだろうな。
「HiMERUくん。私の許可なしにこんなキスするなんてずるいんじゃないですか」
顔が良すぎる…っ。ファーストキスを奪われたんだから、叱るか怒るかするべきなのかもしれないけど。彼の胸中を察すると私まで泣きそうになる。私は実際に要と絡んでないし何とも言えないけど、私が惚れているのは十条兄のほうだと思うんだよな。つまり目の前のHiMERUくんが私の初恋。悔しいから今度は自分から彼の唇を奪ってやった。傍にあったソファーに誘導して彼の膝の上に乗っかって口付けを交わす。触れるだけの普通のキスをして彼と見つめ合う。そんな熱っぽい眼差しを向けられるとキュンキュンしてタヒにそうになるよ。
「私が好きなのはこっちのHiMERUくんだよ」
「俺は…可愛い名前をこうしても許されるのでしょうか?」
「はァ…っ。HiMERUくん…もっと、キスして。触って…っ」
「そんな顔で煽られたら、止まらなくなってしまうのですよ。イケナイ子には…おあずけなのです」
END