HiMERU
名前
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※なんでもありのトリップネタ要夢。
―「はい、ちゅぅもーく!」
体育館で竹刀を見つけた私が桜●やっくんのモノマネをしていたら、クスクスと笑いながら近付いてきた人物が…。今この瞬間、ラブ●ースイート流していい?大好きな推しが目の前にいる。しかもジャージ姿めちゃくちゃ可愛い。嘘でしょ?今日は会社の合同運動会だった筈なのに、扉を潜ったらトリップしちゃったとか…そんなのあり?高校生の姿に若返ってるとかさぁ。
「面白いのですよ」
「いや。笑いすぎでしょ」
トリップした私が最初に出会ったのは学生時代のHiMERUくん…、じゃないな。そう…彼はHiMERUだけど私の知ってるHiMERUじゃない。十条要…だと思う。これは上手く行けば十条兄弟ハッピーエンドに導けるかもしれない。なんていう使命感に燃える私の日常は過ぎていった。自分もアイドルで、玲明の特待生なんていうおかしな世界。この時代の風早巽を無意識に敵対視していたら「名前。顔が怖いのですよ」と要に言われた時には焦ったなぁ。要は風早巽のこと神格化してるみたいに慕ってるからヘタに否定したりとか出来なくて辛い。
「やっぱり巽先輩はすごいのですよ」
「んー。私は要のほうがいいけどな〜」
なんやかんやあって要と仲良くなった。この先の未来を知っているオタ女だということはひた隠しているけれど、事ある毎に自分の中のオタ心が暴走しそうになるんだよね。HiMERUくんの弟とあって、要はとても優秀だった。対して自分のスキルはといえば、現実世界では運動神経も歌唱力もなかった私が歌うまでダンスも得意という高スペックに。トリップして都合よく補正されていると思う。
「あの…折り入って名前にお願いがあるのですが…」
そんな可愛い顔でお願いすんな。と、悶えている私に彼はとんでもないお願いをしてきた。ドラマのキスシーンに備えて練習をしておきたい、と。「恥ずかしながら、ぼくはキス初心者なのです」と…ファーストキスまだなのに私とキスの練習なんてしたらファーストキスの相手が私になってしまうじゃないか。ていうか、要くん私のこと経験豊富な女だと勘違いしてないかい?
「要…私が練習相手じゃ力量不足だと思うけど」
「こんなこと名前以外に頼めないのですよ。それに、名前なら経験はあるでしょう?」
そりゃあ成人済社会人だから経験はあるけど、それとこれとは話が別だと思うんだ。練習とはいえ、未成年の要とキスするとか…。しかも、私の推しはHiMERUくん(要の兄)なんだぞ。私はめちゃくちゃ葛藤したけれど、HiMERUくんそっくりの可愛い可愛い要のお願いを断るなんて、結局無理だったよ。
「要のほうからするんじゃないの?」
「名前にお手本を見せてほしいのです」
遊んでる女だと思ってんのかな?少しは私の気持ちを考えてほしいよ。ちょっと屈んでくれた要に正面から抱きついて、そのまま彼の唇を奪う。いい匂いした。ていうか、ほっそ。ぎゅうっとしたらわかったけど、女の私より絶対細いよ。ほんの少し触れるだけの口付けだけど、これが要のファーストキスになってしまったんだよね。耐えきれずに離れようとしたら、真っ赤に顔を染めている彼はふいっと私に背を向けてしゃがみこんでしまった。
「ずるいのですよ。名前」
なんで文句言われんの?そっちがキスしろって言ったんじゃん。なんでも…私が顔色ひとつ変わってないから不満らしい。「ぼくはドキドキで死にそうになってるのにずるいのです!」と涙目で訴えられてキュンキュンしたわ。要可愛すぎる。「でもこのままじゃお兄ちゃんの望むようなアイドルにはなれないのです」とやる気を出したのはいいけど、ここまで豹変するとは…。
「や、ァン…っ。ふ…ァっ」
キス未経験だったくせに、いきなりこんなディープキスしてくるなんて行動力ありすぎるわ。でもヘッタクソだなぁ。見様見真似だからか、ぎこちないし、ただ舌を絡めてるだけのものだった。まぁ、可愛い要が自らしてくれた初めての口付けだから、どんなものでも愛おしいんだけど。
「…キスって難しいのですよ」
「要…キスはこう」
推しの弟にこんな肉食系な口付けの仕方を教えるハメになるとは…。「やっぱり名前に相談して良かったのですよ」と、キスの練習に精を出されると複雑な気持ちになるな。というか、ドラマでのキスシーンでこんなキスするつもりなの?と、訊いてみたところ、予想外の返答が返ってきた。
「好きな子とは特別なキスがしたかったのですよ。演技でするのは普通のキスなのです」
彼との口付けの感触が忘れられない。そして、その日は唐突にやってきた。要が私に「今後ぼくのことはHiMERUと呼びなさい。金輪際、ぼくの本名は口外しないように」と真摯な眼差しで告げたのだ。HiMERUになった彼はまるで別人みたいだった。しかし、この出来事により、Xデーは確実に迫ってきていると判明したのだ。だから私は要の傍から極力離れないように心掛けた。
「男子トイレまで付いてこようとしないでください」
「私は君ら兄弟を幸せにしたいだけ…」
―「ん…?あれ?HiMERUが二人!?」
「寝ぼけているのですか?こちらはぼくのお兄ちゃんなのですよ」
目を覚ましたら元の世界に…なんてことはなかったが、私の目の前にはHiMERUが二人座っている。心配そうな視線を向ける彼の方は可愛い可愛い要で間違いない。そして彼の隣りは私の推しのHiMERUくん(十条兄)…だと思う。寝ぼけてると思われてるのを利用して、私は要に熱烈なハグをした。(兄HiMERUが見てるとこで)
END