HiMERU
名前
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―私は俗に言う干物女である。最後に恋愛したのっていつ?なんて程の化石っぷり。だから勿論、彼氏なんているはずもない。じゃあベッド上で私に寄り添っているのは誰…?と危機的状況を理解してがばっと飛び起きた。男の家に上がり込んだりしていないし、自宅で寝た。だからこの人物は不法侵入した変態なのでは?と、一気に心臓が縮こまったのだが…。
「…名前?どうしたのですか?」
薄明かりにぼんやりと照らされるお顔が美形すぎる。その声も聞き覚えがある。そう…彼の名はHiMERU…だと思う。夢の中だとはわかっているけれどぎゅぅうっと抱きしめられて胸に擦り寄ってくる彼を諌める為に名を呼んでみた。「HiMERUくん…?」と。もうちょい離れてもらいたかったのに、離してくれない。うん…外が明るくなって、部屋の電気も付けたけれど、隣りで寝ていた美形はやはり私の推しだった。逆トリップなんて言葉が脳裏を掠める。混乱している私とは裏腹に、HiMERUくんは私にべったりだし甘々な雰囲気に呑まれる。
「HiMERUくんと私は付き合ってるの?」
安易な一言で彼を傷つけるとは思わず。だが、HiMERUくんと付き合うようになった経緯を説明してくれたから助かった。それにしても、本当の名前はなんていうの?十条要は弟の名だったしな。若干の不信感を持ちつつもこの幸せなシチュエーションを堪能してやろうと決めた。束の間の夢でいいからHiMERUくんとラブラブしたい。さて…彼に訊いたなれそめ云々から推測するに、逆トリップではなく私があんスタ世界にトリップしたのだろうな。
「HiMERUくんは可愛いなぁ…」
「可愛いのは名前なのです」と熱烈なハグと噛み付くような口付けをされて朝食の準備が全然捗らない。スイッチが入ってしまった彼にキッチンでキスされまくるし。後ろから胸を揉まれながらのキスはすごくエッチだと思う。喪女には耐えられない。今日が平日で助かった。「遅刻するから離れて」と告げたら離れてくれたし。
「そろそろ一緒に暮らしたいのです」
「お布団一組しかないから一緒に住むのは無理です」
HiMERUくんの同室はナルちゃんと鉄虎くんだったなそういえば。彼らにも怪訝に思われるだろうしプロ意識の高いHiMERUくんが彼女と同棲したがるなんて信じ難い。結婚という単語を出されたから曖昧な返事をしつつESビル(職場)へと…。初対面なのに燐音くんから「パチンコですっちまったから金貸して」と言われた。(HiMERUくんは今この場にいない)喪女な私が初対面なだけで、既にこの世界の私とは面識があるから初対面じゃないけど。何故私が積立で利益が出たことを知っているんだこの男は。
「お金は貸しません」
「メルメルには貢いでるくせに」
「貢いでないもん(推しには課金したいけど)」
「名前さんは僕にも焼き肉奢ってくれたしいい人っすよ」
ニキくん可愛い。食べ物に釣られて私のこといい人認定してくれてありがとう。メルメルに貢いでいると言われたら、否定できないところがあるからね。さて…メルメル以外のクレビに囲まれていたら、なんとHiMERUくんが燐音くんの首根っこを掴みつつ登場。「全部聞こえてました」と眩しい笑顔で。
―「HiMERUは名前に貢がれているのでしょうか?」
燐音くんに言われたこと気にしてるの可愛いすぎる。彼と共に自宅に帰ってきたら開口一番にそんなことを訊かれた。心配げに眉を寄せていたからつい頭を撫で撫でしてしまったよ。というか、今夜もうちに泊まるの?星奏館に戻らないの?推しと添い寝には心惹かれるけれど、喪女なのでメンタルが…。ことあるごとに笠間淳ボイスで囁かれて瀕死なのに…。さて、ワクワクしながらバスボムどれにするか選んでいるHiMERUくんの後ろ姿はとても可愛いけれど、「名前はどれがいいですか?」と一緒に入る気満々な顔で訊かれて死にそうになった。いや、メンタルは無事死んだ。
「今日は一人で入っ…いや、そんなしょぼんとした顔見せられたら断れないわ。メルメルずるい!」
END