天城燐音
名前
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-「燐音くん…今日デートだって分かってる?」
「名前ちゃん、燐音くんの行きたいとこが私の行きたいとこだって言ってたじゃんよォ」
初デートでパチンコ屋行くって、まぁ…期待していた私が馬鹿だったのかもしれないな。彼のギャンブル好きな性格も許容していた筈だが、まさか彼女とのデートでパチンコ屋を選ぶなんて思わなかったんだ。そもそも、私はパチンコ屋に入ること自体初めてだ。完全禁煙の店を選んでくれただけありがたいかもしれない。でもやっぱり店内はうるさすぎるわけで。「名前ちゃん、表情固すぎっしょ」と、燐音くんに頬をむにっと摘まれた。観た事のあるアニメのパチンコ台があったからそれをチラチラ見ていたら彼に手を引かれて誘導された。近くで見たところで何をどうしていいか全然分かんないんだけど。隣同士に腰掛けてからお金を左上の投入口に入れて、ボタンを押して玉が出てくる様を呆然と見つめる。
「ハンドル回して。玉を穴に入れればいーだけだから、やってみ?」
「え…っ。ねぇ、これでいいの?」
「左打ちに戻して」
店内がうるさくて普通に喋ってると声が聞こえないから、燐音くんは肌が触れる程に近くに来てくれる。そんな彼に耳元で囁かれる度に心臓が跳ねる。初デートでパチンコ屋なんて、コノヤローと思っていたのに、不思議と楽しくなってきて。気付けば当たりを連発していて、テンション爆上がりの燐音くんが大量放出されるパチンコ玉を箱に入れてどうにかしてくれた。最初から最後までわけが分からないままだったけど、勝ったしよしとしよう。
-「名前ちゃんはギャンブルの才能があるのかもなァ!」
「私は普通のデートがしたいんですけど…」
「もしかして、燐音くんとのデート楽しくない?」
戦利品を抱えて店を後にすると、頭にぽんと手を置かれて顔を覗き込まれ、その問いかけを否定したくて首を振る。だってまだデートは始まったばっかりなんだから楽しくないかどうかなんて分からないし。燐音くんとの距離が縮まるならギャンブルデートでも嬉しいし。何気にこうやって腕を組んでくれるし、不満ばかりなわけじゃないんだけど。街ですれ違った露出の多いおねーさんに視線を奪われていたのはちょっと嫌だったから、むぅ…と、唇を尖らせて不貞腐れているアピールをする。
「燐音くん、あぁいうタイプが好みなの?私とは全然違うじゃん」
「違う違う、勘違い。もし名前ちゃんがデートにあぁいう格好してきたらやだなと思っただけっしょ」
「へぇ。セクシー路線は好きじゃないの?」
「だって、他の男にも見られちまうから嫌じゃん?」
「そういうのは俺だけに見せてくれればいい」と言われて何となく幸せな気持ちになっていたのに。次のデートスポットがラブなホテルっていうのは…どうかと思うんだ。まだ明るい時間だし、昼間からこんなところにいるのはなんか後ろめたい。けど、なんせ初めて入ったので興味はある。それに彼はアイドルなわけだし、人目に触れる場所でスキャンダルな写真を撮られてしまうよりもいいのかもしれない。
「燐音くんそんなにエッチがしたかったの?」
「そりゃあ、名前ちゃんとシたいと思ってたけどさァ。嫌なの?」
「ほんとは初デートでラブホなんて最低なんだよ?普通だったらフラれてるよ」
「俺っち、名前ちゃんのそういう優しいとこ大好きなんだよなァ」
「チョロいとこの間違いなんじゃない?」なんて怒ってるふりをして、彼からのキスを受け入れる。甘い口付けに酔わされていると、彼は片手で器用に私の服のボタンを外していることに気付いた。私は拒まなかったけれど、唐突に鳴り響く携帯の着信音に甘いムードは突如終わりを告げた。電話してきた相手は、私が燐音くんと付き合っているのを快く思っていないニキくんからだったようだ。「燐音くんはやめといたほうがいいっすよ」と何度も言われているし、彼の言い分も共感できるけれど、結局惚れたもん負けってやつだ。
「ニキくんよぉ…俺っちと名前ちゃんの甘い時間をよくも邪魔してくれたなァ」
「燐音くんに名前ちゃんは勿体なさすぎるんすよ。早く別れるべきっす」と私に向けての言葉だろうニキくんの声が聞こえてきたが、私は我関せずでベッドに寝転がっていた。
END