桜河こはく
名前
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―「ねぇ…こはく。抱いて」
抱くというのは、身体を重ねることだと思っていただけに、彼の行動にはがっかりさせられた。名前のお願いに頷いたこはくは、何も動揺している素振りはなかった。「なんや、今日は甘えん坊やな」とぎゅーっと抱きしめられた彼女は「そうじゃない」とすぐに呟いた。浮世離れしているこはくには直球で伝えないと分かってもらえないんだな。と彼を見上げてはっきりと口にした。「男女の営みがしたいって意味なんだけど」と、その言葉を聞いた彼はぴくりと眉を顰めた。
「あかんて。わしは名前の婚約者じゃないやろ」
「えー。こはくは私と婚約してくれないの?」
朱桜の分家の自分じゃ名前には相応しくない。自らの意思はどうであれ、他の御曹司と上手くいけばいいんだ。と、早いうちに彼女を手放す気でいたのだが彼女はこはく一筋で…。「わしじゃ認めてもらえへん」「私はこはくじゃないとやだ」と押し問答を続けていれば、とっぷりと日が暮れていて。名前は「泊まる」と言い出した。
「こはくは私が嫌い?」
「勿論好きじゃ。わしのものになればいいと思うとる」
「それなら、抱いて」
彼女が頑固なのは分かっていたし、こはく自身も名前と関係を持ちたいと思っていた。故に、背徳感と男としての欲望がせめぎ合う。触れるだけのキスしかしたことがなかったのに舌を絡めた深い口付けをされて、ぽーっとした顔で視線を合わせると彼に笑われた。「自分から言い出したくせに、これくらいで照れとるん?」と。互いに寝巻きの浴衣姿で、これからもっとすごいことをしてしまうんだ。と自覚した名前は徹底的に彼を煽ろうと決めた。「こはくの、好きなようにされたい」「後悔せぇへんようにな?」とするりと帯が解かれて、白い肌があらわになる。
―「なんで隠すん?わしには見せられるやろ」
-思わず浴衣をたぐり寄せて胸元を隠す彼女の手を握り、こはくが嗜虐的に微笑んだ。「ん。えぇ子や」と浴衣を剥ぎ取られ、彼に抱き寄せられて素肌と素肌が重なる。濃厚なキスに意識を奪われていれば、彼の手は胸に滑らされていて。揉まれたり先端に掌を掠められたりして、我慢出来ずに唇を離す。普段は品のある所作しかしない彼が今は男の欲をギラつかせ、胸の頂を執拗に愛撫してくる。吸いつかれ、舌先で舐め回され、布団に背中を沈めて嬌声を漏らす彼女がいやらしくて、可愛くて止められなくなった。
「ふ、ァ…っ。らめェ…っ」
「だめじゃないやろ?名前の淫乱」
潤ったそこに指を沈められ、激しく出し入れされて呆気なく最初の絶頂を向かえてしまい、涙目でこはくを見つめる彼女が「こはくはえっちだ」と呟けば彼にくすりと笑われて組み敷かれた。耳元で「えっちなのは名前のほうじゃろ?」と「胸触られるの弱いんやな」と指でくりくりと弄られて、恥ずかしいのに気持ち良くてどうにかなってしまいそうで。「欲しい」と目で合図すれば、彼のそれが挿入された。優しくしてくれているのは分かっているが、初めての痛みがないわけではなかった。キスで痛みを和らげ、彼の背に回した手に力が籠る。
「こはくと、最後までしたいの」
「そんなこと言われたら、優しくするなんて無理やで」
「いい、からァ…っ。こはくぅ…っ」
「はァ…っ。腰、止まらんわ…っ」
自分の恋人が可愛すぎる。と、出し入れが激しくなり、静寂な部屋には淫らな音が響いていく。ずっとこうしたかった。しかし、自分の下で乱れる彼女を目の当たりにして抑えきれなくなった情欲が溢れ出し、彼女のナカで欲を吐き出した。自分は気持ち良くなれたが、きっと名前には痛い思いをさせてしまっただろう。と、頭を撫でながら謝ったこはくだが、あまりの可愛さに面食らわされた。「これで、こはくのものになれた。ずっと、こうしてほしかった」と恍惚とした表情で告げられたからだ。
「せやで。安心して眠り」
END