桜河こはく
名前
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-「本家の奴相手にデレデレしおって…ほんまに…っ」
こはく激おこの原因は私にある。今まで夜会には参加することがなかった彼が、今回珍しく顔を出していたらしく、私が司くんと楽しく談笑していた場面を目撃した彼はずっとこの調子だ。ダンスホールの外…人目につかないバックヤードに連れ出され、壁際に追い込まれて逃げ場がない。煌びやかなシャンデリアもなく、少し薄暗いこの場所にいると、何だか悪いことをしている気分になる。身内は当然朱桜の本家の司くんとの婚約を進めたいのだろうが、私が想いを通わせているのは桜河こはくで…まさに秘密の恋である。彼の唇に人差し指を当てて、にこりと微笑む。
「焼きもち、妬いてくれて嬉しいな」
「名前のあんぽんたん。こんな格好して…無防備すぎるんや!」
ドレスに沿って身体のラインをなぞられ、思わずびくりと反応してしまった。何だか手つきがいやらしいぞ。せっかくセクシーな衣装を選んできたのに、この姿を褒めてくれないのか。「いつ見てもお綺麗ですね」と褒めてくれた司くんとは大違いだな。なーんて、少し不満が募る。だって、こはくが「綺麗」とか「可愛い」とか褒めてくれたことなんてないんだもん。
「こはくに見てもらいたくて、このドレス選んだんだけど…。何か言ってよ」
「そんなに綺麗やと、わし以外の男に言い寄られるやろ。せやけど…来て正解やったわ」
こんなキス知らない。普通のキスしかしたことなかったのに…。熱い舌が絡み合って、息が出来なくて苦しいのに、唇を離してくれなくて。胸を押し返すと、漸く唇が離れて銀糸が伝った。その瞳はギラついていて、こはくが欲情してくれているのがよく分かる。彼のことが大好きで、彼のものになってしまいたくて、ぎゅっと抱きついて自分から唇を重ねる。普通のキスだったのに、こはくに後頭部を支えられてから主導権を握られてしまった。もう片方の手が胸から腰の辺りを行ったり来たりする。
「こはくくん。手つきがやらしいんですけど」
「わしな、名前を抱きたいんや。このドレスも脱がせたいねん」
婚約すらしていないのに、身体の関係になんてなっていいわけがない。それなのに、この手を拒むという選択肢はなくて。私は彼の台詞に頷いて腕を組んで歩き出した。「既成事実…作ってもえぇやろか?名前をわしの嫁はんにしたいんや」「いいに決まってる」肩を並べて向かう先は、桜河家の隠れ家で。静寂な部屋には、卑猥なリップ音が響く。ドレスにかけられた彼の手がチャックを下ろし、ストンと床に落とされて、肌があらわになる。隠したいのに隠せなくて、こはくにベッド上で押し倒される。「綺麗や。ずっと…名前とこうしたかった」と妖艶な表情の彼に見つめられて、もう後戻りなんて出来なくなった。
「わしのものやって印…付けたるから。そんな泣きそうな顔せんといて」
END