愛のカンパネラを鳴らせ-第2章-
名前
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-「ン?今ボクを呼んだのは君かナ?」
いや呼んでませんけど。私は一応面識のある宙くんがESビルの壁を登っていたのを目撃してハラハラしながら眺めていただけである。パルクールが得意なことは知っているけれど見てる方は恐い。さて…そんな私に声をかけてきた人物はSwitchの夏目くんだったわけで。夏目くんめ初対面の年上のおねーさんを呼び捨てするのはいかがなものかと思うよ。しかも私名前名乗ってないのに。
「名前は宙とは会った事があるんでショ?そして、ボクのことも知っている…そうだろウ?」
「HoHo〜。ししょ〜綺麗なピンク色な〜」
「宙くん!いいところに来てくれた」
「ボクと二人きりじゃ嫌ってことかナ?」
夏目くんって腹の底が見えないからちょっと苦手なんだよね。だから宙くんが来てくれて安心したんだけど、いつの間にか至近距離に迫っていた夏目くんに耳元で囁かれてドキッとした。心臓に悪いほうのドキッなので、決して恋愛的なときめきを感じたわけではない。「ボクらの出会いは運命かもしれないヨ。子猫ちゃん」と。他の男からこんな事を言われて…というか、他のアイドルと関わっているのを見られたらニキくんに怒られそうなので、仕事があるからって足早にその場を去った。
-「姐さんから美味しそうな匂いがするっす」
レッスン後で腹ペコなニキくんが駆け寄ってくるなり抱きついてきた。おいおい…クレビのみんなに見られてるぞ。と私は冷や汗をかいた。ニキくんが中々離してくれなくて、見かねた燐音くんが無理矢理引き剥がしてくれたけど。美味しそうな匂いがすると言われたけれど、私は今何も食べ物は持っていない。好奇心で購入した新しいシャンプーが苺の香りのものだったのだ。自分でも苺の匂いすごいなと思うくらいなのでニキくんが食いついてきたのもわかる。
「姐さんの唇美味しそう…っ」
「んん…っ」
美味しそうと言って噛み付くような口付けをされた。そういえばリップは葡萄の香りのやつだったな。非常階段のとこで、もしかしたら人が通るかもしれないのに何度もキスをされて息が乱れた。フルーツの匂いのものなんて、ニキくんがホイホイされそうと思ってたけど、こんなに効果覿面とは思わなかった。しかし、私の腰を抱いて耳元に唇を寄せた彼の一言に焦燥した。愛情重たい系ニキくんが一気に不機嫌になってしまった。
「Switchの夏目くんとめちゃくちゃ距離が近かったっすよね?どういうことっすか!?」
「ニキくん落ち着いて。あれは夏目くんの距離感がおかしかっただけだよ。ニキくんの思ってるようなやましいことは何もないからね」
夏目くんめなんてことをしてくれたんだ。可愛いニキくんは私と交際するようになってから一層愛情が重たくなった。私もニキくんのこと大好きだから許容範囲内だったけれど、他のアイドルと話す度にヤキモチ妬かれるのは結構大変なんだよな。キスされながら胸を触られてるし、この子お盛んすぎる。しょっちゅう家に泊まりにきてはそういうこともしているのに、10代の男の子の性欲ってこんな感じなの?
「ニキくん、盛りすぎ。お預け」
「そんなぁ…。姐さんがこんな、胸の大きさわかるような服着てるからいけないんすよ」
「確かにピタッとした服だけど、流行なの。姐さんをそんなにやらしい目で見てるなんてショックだ」
「だって僕、名前姐さんの彼氏なんすよ?」
腕時計を見ると、もう食堂に向かわなくちゃいけない時刻だったのでニキくんから逃げるように扉をくぐり抜けた。そしたら、想定外の人物が待ち構えていた。「子猫ちゃんのことが気に入ってしまったみたいだよ…困ったね」とか、えー。困ってるのはこっちなんですが。ほら、ニキくんが泣きそうな顔してるし。夏目くんに見せつけるみたいにハグされたし。
「姐さんは僕のなんすからね」
「名前を束縛するのは良くないんじゃないかナ」
何コレ。ニキくんの束縛は最初はちょっと嬉しいとか思ってたけど、夏目くんの言う事も一理あるんだよな。ニキくんを宥めて厨房に連れてきたはいいけど、一連のやり取りを見ていたらしいコズプロ副所長こと茨くんに「名前さんと椎名氏はそういった関係だったのでありますか」とジッと見つめられて凍りついた。これは…事務所のアイドルに手を出しやがってとか思われてるんだろうな。怖ぁ。
……To be continued
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