愛のカンパネラを鳴らせ-第2章-
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-“悋気は恋の命”とは…-やきもちを焼くのは恋をしている証拠で、焼かれなくなったらお終いだということ-液晶画面越しにゆっくりと、その言葉を黙読した。恋をしている証拠…ということは、今現在、あんずちゃん相手にデレっとしているニキくんにイラッとしている私はニキくんに恋をしている証拠なのか。逆に、私が他のアイドルと仲良くしているのを見て悋気していたニキくんにも同じことが言えるわけか。
「名前姐さん。なんか怒ってる?」
「怒ってないよ。ちょっと悋気してただけ」
やきもち焼いたなんて言えなかったから敢えて悋気と言ったのだけど彼は聞いたことのない言葉だったようで。「悋気ってなんすか?」と訊かれてしまった。ここはニキくんがバイトしているカフェ・シナモンであり、私はコーヒー休憩というかニキくんに会いたくてここにいる。美味しいケーキを食べてたらニキくんが寄ってくるのでは?と期待していたのに見事に裏切られた。あんずちゃんとは仕事の話をしていると分かってはいるけど、私とは正反対のタイプの若くて可愛い女の子なので油断ならないとか思っていた。
「姐さんが僕に焼きもち…?」
「そんなに信じられないかね」
「やきもちを焼かされる側の気持ちが分かったっすか?」なんて、してやったり顔のニキくんが私の手元に狙いを定めたらしく、向かいの席に座り餌付けされる雛鳥のごとく視線を向けてくるので食べさせてあげた。嬉しそうな笑顔のニキくんほんと可愛い。この前のデートの日から、お付き合いをしているわけで、ニキくんは私の彼氏なんだよな。推しと恋人同士になれたとか夢女冥利に尽きる。
-「姐さーん!今日誰かにチョコあげたりしてないっすよね?」
「さて、どうかなぁ?」と意地悪な返答をすると「浮気は許さないっすよ」と即答されて冷や汗をかいた。ニキくん恋人同士になってから一層愛が重たくなった。本日バレンタインデーに、私は誰にもチョコをあげていない。たとえ義理チョコだとしても、ニキくんは怒るだろうし。だから、あんずちゃんから貰ったチョコにもお返しが出来なくて困ったんだけど。
「誰にもチョコ渡してないよ。ニキくんにしか用意してない」
「それならいいけど。このチョコ買ったやつっすよねぇ」
作る時間がなくて、それにニキくんにあまり美味しくない手作りチョコを渡すのも気が引けて有名パティスリーで買ったものをあげたのだ。去年、私が自分用で買って食べて美味しかったガトーショコラを購入した。私の家のキッチンにてエプロン姿のニキくんは受け取ってくれたものの、微妙な反応…。そんなに私のべつに美味しくない手作りが食べたかったのか。ニキくんに座って待ってるように言われ、テーブルで大人しく待っていたら白いお皿に乗せられて、フォンダンショコラが運ばれてきた。ナイフで切ったらトロォっとチョコソースが溢れ出して美味しそう。
「これは逆チョコってやつなのかな。私のリクエストに答えてくれてありがとう」
「ほんとは姐さんの手作りが食べたかったけど、こっちを貰うからいいっす」
唇の端をペロリと舐められて思わず固まった。最近のニキくん大胆すぎる。「名前姐さんが一番美味しいっす」といい笑顔で呟かれて照れて何も言えなくなった。フォンダンショコラ美味しい。けれど、この見返りを求められることは確定している。部屋の片隅にニキくんのお泊まりセットが置いてあるから…。きっと寮にいる時間よりも私の家にいる時間の方が長いと思う。半同棲的な関係になりつつある…のかな。
「あ…この板チョコ誰に貰ったんすか?」
「それ、燐音くんがパチンコの戦利品でくれたやつだ」
「姐さん僕以外からチョコ貰ってるなんて酷いっす」
「ふ、ァ…っ。ニキくん、いつもと、違う…っ」
「抱かれてる時の名前姐さんはエロくて可愛いっすねぇ」
燐音くんに逆チョコの意識は一切ないと思うが。これが引き金となり、嫉妬したニキくんに愛されまくるセックスは夜通し続いた。私だってチョコあげたのに、なんだか過払いした気分。
……To be continued