ピロートークはまだ早い
名前
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-「ねぇねぇ。要くん」
HiMERUくんの本名は要くんなんでしょう?彼は私が何も知らないと思っているんだろうけど。そう…知らないと思っていたからこそ、私が「要くん」と呼んだことに吃驚しているのだろう。「はて…要くんとは誰のことでしょうか?」と、とぼけられてしまった。好きな人の全てを知ることが正しいなんて思わない。お互い見えない部分があってもいいと思う。けれど、HiMERUくんの素性は諸事情だらけで、良く言うならミステリアス。悪く言うなら謎が多すぎる。彼について探ってしまったことは少しばかり罪悪感もあるが、私はきっと肝心なことは何も知らない。
「名前、俺のことを探ったのですか?」
「好きな人のことをもっと知りたいと思うのは、いけないこと…?」
きっとHiMERUくんは私を責めたりしない。だって私には悪意がないし。純粋にHiMERUくんのことが知りたかっただけなんだから。そして判明した彼の本名と、彼は本物のHiMERUではなく、HiMERUの代役だという事実。何故そんなことをしているのかは全く知らない。訊いたところで教えてくれないだろうし。HiMERUくんが秘密にしたいのなら詮索しない。私は今のままのHiMERUくんが好きなんだから。と、いうことを彼に伝えてみると、当の本人は不安そうに眉を顰めていた。「こんなに秘密を抱えた俺を軽蔑してはいませんか?」と、彼もそれなりに罪悪感を感じているのだろう。
「ううん。私にとってのHiMERUは貴方で、私はどんなHiMERUくんも大好きだから。軽蔑なんてするわけないよ」
「はぁ…。ほんとに…名前は優しいというか、心が広いというか…。そういうところもあなたの美点なのですよ」
「要くん」と呼んだら返事をしてくれないのは、彼は私の前ではいつでもHiMERUでありたいということなのだろうか。それならそれでいいけれど、ちょっとだけ要くんて呼んでみたくなっただけ。HiMERUも要も全部ひっくるめて彼の一部なんだもんね。夕焼けに照らされた部屋の中で、冷蔵庫から出したコーラ片手に彼が振り向く。珈琲しか飲まなさそうに見えてコーラ好きとか可愛い。だから口付けはコーラ味で。そういえば、HiMERUくんてキス魔なのだろうか?と最近思い始めた。だって、この前ESビルの中でトレーニングルームに連れ込んでまでキスしてきたし。
「HiMERUくんはキス魔なの?」
「そうですね、キス魔というと聞こえが悪いですが。名前限定なのですよ」
こうしてキスしてくれるまではよかったんだけど、その後まさかお説教されるとは…。ていうか、HiMERUくんに怒られたの初めてで何故かキュンとしてしまった。「ここ、胸元開きすぎなのです」と、谷間にクイッと指を引っかけられて。「天城が名前のことをいやらしい目で見ていたのですよ」と、HiMERUくんが怒ってる理由はそれかぁ…と納得。言い訳みたいだけど、今日めちゃくちゃ暑かったんだもん許して欲しい。私なんか誰も見てないからいいじゃん?と思っていたけれど、これは全面的に私が悪いと反省。
「桜河も目のやり場に困っていたみたいですし」
「何それ。こはくちゃん可愛いな」
いくら後輩のことでも、他の男のことを可愛いなんて好意的な発言は気に入らなかったみたいでHiMERUくんはちょっと不機嫌になってしまった。「名前にはお仕置きが必要ですね」と、やばいなHiMERUくん目が本気だもん。身の危険を感じて後ずさるも、いとも簡単に捕まってしまう。「お手柔らかに」の意を込めて彼を見つめるが、椅子に腰掛けた彼の膝の上で向き合う形で座らさられてもう逃げ場はなくなった。いつもはクールなHiMERUくんが私の胸に顔を埋めて甘えてくるのは珍しい。しかし、気付いた時には既に遅かった。胸を覆う布をグイッと下げられて晒された胸に彼の舌が重なり、やがてきつく吸われてピリっとした痛みが走る。
「こんな見えるところに…っ」
「名前がちゃんと胸元を隠していれば見えないのですよ。それとも、もっと分かりやすい場所のほうがいいでしょうか」
「可愛い名前に悪い虫が寄ってこないように」と鎖骨に噛みつかれ、どう考えても服で隠れない場所にマーキングされてしまった。私は全然モテないし、こんなことしなくてもいいだろうに。HiMERUくんてちょっと過保護なところがあるな。むしろ私は、可能なら目立つところにHiMERUくんは私のだっていう印を付けてしまいたいのだけど。私はいつだって一方的にやられっぱなしなのである。
「いつもは見えない所にしか跡付けなかったじゃない?」
「服で隠れて見えない所にも付けて欲しいとは、名前は意外と欲張りなのですね」
「やめて…っ。太もも…擽ったい、からぁ…っ」
スカートの中で、なんてエッチなことをしているんだろうか。怒っても効果はあまりないどころか彼の舌がどんどん上に迫ってきて、窮地に立たされただけだった。蜜壷の入り口に彼の舌先が触れて、私はHiMERUくんには絶対勝てないと覚った。
……To be continued