make love.fake love.
名前
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-名前と籍は入れたが、大々的な結婚式を行えるわけでもなくEdenの面々にも言えずにいた為、こんな状況を目撃しても「名前は自分の妻ですよ」と言及するわけにはいかなかった。控室に入ると真っ先に目に飛び込んできた名前の姿。しかし、彼女は今、巴日和に膝枕をしている。夫の自分ですらそんなことをしてもらった事はない。「何してんですか」と咎めるような視線で見つめると目が合ったが、彼女は苦々しく笑うだけで。
「名前の膝枕は落ち着くね!」
「日和殿下…自分、名前に用があるんですが」
名前が他の男と親しくしている様を見ると、どうも苛立ってしまうのだ。だからこそ、ある日彼女がCrazy:Bの椎名ニキと仲が良さそうに話している場面を目撃して、ついに茨の我慢の限界がきてしまったのだ。自分はこんなに独占欲が強くて嫉妬深い人間だっただろうか。と、茨自身も戸惑う程だった。べつに仕事の用事があるわけではない。ホールハンズで彼女を呼び出してしまうのは、個人的な用があるからで。
「副所長…何かご用ですか?」
「名前…ちょっとこちらへ」
彼女が誘導されたのは茨の膝の上で。仕事中だというのに、茨と二人きりになれたのが嬉しくて、名前は顔が緩むのを隠す為に唇を引き結んでいた。しかし、茨に頬を撫でられ顎を掬われて、ついに期待が表情に表れてしまった。唐突な口付けをされて、唇が離れた瞬間に彼女が口を開いた。「副所長…仕事中なんですけど」と。今日の名前は可愛げがなかった。と…いうのも、結婚してからも目に見えた変化がなく、こうして呼び出されるのも久しぶりだった為、不貞腐れていたのだ。そんな彼女の首元には結婚指輪を吊るしたネックレスがされており、彼は呆れた。これじゃ、既婚者であると分かりづらすぎると…。
「名前。結婚指輪、どうして指に嵌めていないのでありますか?」
「だって…こんなの目敏く見つけられて深堀されたら困るじゃない」
「そんなに無防備だから、よその男共が寄ってくるんですよ」
「殿下に膝枕したり、椎名氏とも随分仲が良さげにしてましたね」と、くどくどと説教をされたが、それは殆ど嫉妬というか文句であり、茨は焼きもちを妬いてくれているんだな。と、名前は笑顔になっていた。しかし、そんな彼女も反撃に出た。よく見ると茨の指にも結婚指輪は嵌められていないじゃないか…と。「自分はアイドルなので、そういうスキャンダルになりそうなことは隠さなければいけませんから」と、尤もらしいことを言われてしまうと反論出来なくて悔しかった。だが、名前は明け透けに不満を口にした。
「むぅ…。それは分かるけど、茨くんに気のある女の子が寄ってきちゃうもん」
「私は殿下の我儘をきいただけだし、ニキくんにはお料理のこと教わってただけだから浮気じゃないよ」と、自分のは仕方ないじゃないかと言われるけれど、やはり夫としては看過できない…いや、したくないという思いがあったのだ。だからこそ、彼は何度も唇を重ねた。それは淫らな口付けだった。キスをしながらも片手は彼女のシャツのボタンを外して素肌に触れていたのだから。
「ふ、ぁん…っ。待って…茨…っ」
「待ちませんよ。あなたはもう自分の妻なんですからね」
「そうですね…自分のだっていう印でも刻んでおきましょうか」と…胸元に、そして服で隠れないような首筋の、見えるところに紅い所有印が残された。茨は満足そうに唇に弧を描いていて。何だか悔しくなった彼女は茨のネクタイを引っ張り、その唇を奪った。「茨くんだって、もう私の旦那様なんだからね」と悪戯っぽく微笑む名前が可愛くて、茨は衝動のままに彼女を抱き竦めた。
END
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