初恋は選べない
名前
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―「この私をお呼びになりましたでしょうか?」
「突然呼び出してすみません。…その、私…前から日々樹さんの事が好きで…―」
私を手紙で呼び出した女の子は頬を染めながら、ありがちな告白をして下さいました。どうやら彼女はfineでパフォーマンスしている時の私しか知らないようです。夕焼けが彩る静かな校舎裏は私達以外は誰も居ません。
「アメージング!今日も世界は愛に満ち溢れていますねぇ~!」
勿論、このテンションで『変態仮面』などと呼ばれている三奇人の一人の私を知らなかったわけです。私に愛を囁くのなら、どんな私の姿も受け容れるべきでしょう?などと…去り行く背中を見送りながら冷静に考える私は酷い男でしょうか…。
―「避けられていると分かっていても、私には名前しか居ませんよ~!」
近頃、名前は私とまともに視線を合わせてくれないのです。今だって、紅潮した顔を隠すように教室を出て行ってしまいましたね。何か彼女に嫌われるような事をしてしまったのでしょうか…。
「初々しいのう。お嬢ちゃんは日々樹くんを意識しすぎているみたいじゃの」
「意識…?私だって、常日頃から名前を意識していますよ」
「つべこべ言わんと、あの娘を追いかけて正直に伝える事じゃ」
―「渉くん…!どうして追いかけて来たの?」
「私はクラスメートであり、貴方の幼馴染みでしょう」
「ごめんね。幼馴染み、としてだけじゃなくて…私は渉くんに惹かれてるよ」
誰から告白されようとも、いつも脳裏に浮かんだのは彼女だけなのです。しかし、いつもの私の姿を見せると皆…好きだと言って下さったのが嘘のように遠ざかっていくのです。それにはもう慣れましたが。名前だけは他の女性とは違う。そう感じるようになったのです。
少し離れたこの距離が、もどかしい―
to be continued…