初恋は選べない
名前
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―「君が渉と噂になっている女子生徒だね?」
噂になっている…?と、色々と訊きたい事はあるけれど私の元に現れた天祥院さんという人物に呼ばれ、連れてこられた場所はレッスン室だった。中に入ると、二人の男の子が待っていた。
「申し遅れてすまないね。僕は学院の生徒会長であり、渉が所属するユニット『fine』のリーダーなんだ」
転校生の私に挨拶がしたかったらしい。あとの二人、一年生の姫宮くんと二年生の伏見くんも自己紹介してくれた。問題の渉くんはまだ来ていないようだ。
「変態仮面が女子生徒と一緒に居た。って本当だったんだね」
「あんなロン毛のどこがいいのー?」と、姫宮くん…可愛い顔して爆弾発言は控えてほしい。私は彼の幼馴染みだという事を説明したら分かってくれたようだ。
「よし、決めた!名前は僕の奴隷二号にしてあげるからロン毛になんか構わないでよ」
奴隷にしてあげる発言をされて戸惑っている私に謝罪してきたのは姫宮くんの執事である伏見くんだ。「うちの坊っちゃまがすみません」と頭を下げているという事は奴隷一号は恐らく彼の事なのだろう…。
―「聞き捨てなりませんねぇ~!姫くん」
出し抜けに部屋に入って来た渉くんの姿に驚いて目を瞬いていると彼の口から更にとんでもない台詞が飛び出した。流石は三奇人の一人とでも言おうか。
「私の名前を奴隷にしようだなんて許しませんよ~?」
「助けにきましたよ」と微笑みを向けられ、庇うように私を背に隠す彼の行動一つ一つに翻弄されてしまう。変人のくせに時折かっこよく見えるのは狡い。そのテンションに圧(お)されて私は反論も出来ずに口を噤んだ。
「渉は随分と君に御執心のようだね…」
目が合った生徒会長に冷やかしをされるとは予想外だった…。そんな面白がるような視線で観察しないで頂きたい。
「いや、渉くんは幼馴染みとして気にかけてくれているだけですよ」
ただでさえ誤解されているというのに火に油を注ぐような発言はやめてほしい。「名前は私の最も大切な人ですから…」と真剣味を帯びた口調で告げられると非常に心臓に悪い。
いつもの調子の彼を相手にする方がどんなに楽か―
to be continued…