新婚はじめました
名前
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―「おはよう。愛しのタンポポちゃん」
名前ちゃんて何だかタンポポみたいで、一緒に居ると和むんだよね。と出会う度に口説き文句を囁いてくる羽風薫には、正直苦手意識を抱いていた彼女。自分の事をデートに誘ってくれるのは嬉しいけれど、女好きの彼に彼女がいない筈がない。特別可愛くもない自分をデートに誘うなんて物好きな人だなぁ…と、心底そう感じていた。女の子なんて選り取りみどりであろう彼が何故私に固執するんだろうという疑問は拭われる事はなかったが、たった一度のデートで彼女は彼に惹かれていたのだと気付くことになるのだった。
「俺の為にお洒落してくれたの?こんなに可愛い名前ちゃんとデート出来るなんて夢みたいだよ」
待ち合わせ場所に着くと既に待っていてくれた彼は開口一番に彼女を褒めてくれるのだった。羽風先輩の隣を歩くのに相応しい女の子になりたい。その思いを表したかのように、本日の名前は気合いが入っていた。水色のシースルーブラウスに、紺と白の花柄のスカートを纏った彼女を目にして、薫は声をかけるのを躊躇った。それ程に華やかな印象を与えていたのだ。いつもは自分を警戒してあまり喋ってくれない彼女が、自分と目が合うと嬉しそうに微笑んでくれた。いつもの反応との違いに歓喜する薫だった。
―「あの頃、タンポポちゃんとか呼ばれたけど…良く考えたら雑草だよね」
風呂上がりの彼女が何か思い出したようで薫に声をかけた。その口ぶりからするに、薫からタンポポと呼ばれたのが不満な様子。「確かに私は薔薇みたいな派手な花のイメージじゃないとは思うけど、タンポポの私を選んだ薫くんは趣味悪いよね」言いたい事だけ言ってドライヤーで髪を乾かしている彼女に言及しようにもその音でかき消されてしまう。暫くして、乾いた髪を靡かせた彼女がドレッサーの前で振り向いて薫を真っ直ぐに見据えた。そんな名前を手招きすると若干不機嫌そうな表情をしながらもベッド上の薫の隣に腰をおろした。
「綺麗だけど棘のある薔薇みたいな女の子よりも、一緒に居るとあったかくて安心出来る名前ちゃんのほうがいいに決まってるでしょ」
当時を思い出すように目を細めた彼は問うた。そういう名前ちゃんだって、俺の事散々嫌ってたのに、生涯の伴侶が俺でいいの?と珍しく不安に駆られたように切なげな視線を自分に向ける彼に胸の奥が締め付けれる感覚に陥った名前は小さな子供を抱きしめるように、薫の頭を自分の胸に抱き寄せるのであった。
「名前ちゃんは俺を甘やかすのが上手だよね」
「薫くんが意外と甘えん坊だって事、知ってるからね」
To be continued…
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