欲しいのは君
名前
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―ぼーっとする思考の中で、何か嫌な予感がする。と、彼自身の第六感が告げていた。そもそも、息子が熱を出して寝込んでいるというのに他人に看病を任せるなんて薄情な親だ。彼の母は、名前をつむぎの彼女だと信じ込んでいる為、看病を任せたのが事の発端である。額に冷却シートを貼られたつむぎはベッドで仰向けに横たわりながら、これまで幾度となく名前に襲われそうになったのを思い返していた。
「俺なんて、襲っても意味ないのに…」
つむぎがそう呟いた瞬間、部屋のドアが開けられ、名前が姿を現した。彼女がゆっくりとベッドに近付いていき、つむぎの頬に手を重ねる。「熱、まだ下がらないか」と心配そうな表情を滲ませている彼女の手が冷たくて気持ちいい。「風邪がうつるから看病しなくてもいい」そう伝えようと思っていた筈なのに、傍に居てほしい。頬に当てられた彼女の手は、離れてほしくないとでも言うように、彼によって手首を掴まれている。
「風邪引くと甘えん坊になるのかな?つむぎは」
その声に反応した彼は閉じていた瞳を恥ずかしそうに細めた。名前に申し訳ないと思いつつ、心の片隅では彼女の包容力に安心感を抱いていた。さて、一方の名前はというと…今がチャンスだと分かってはいるが、甘えてくるつむぎが可愛いので一時休戦にしておこう。と、手を出すのは思い止まっている様子だ。
「なんだか、今度は寒気がするんです」
「それなら人肌が一番温かいって聞くし、私が添い寝してあげるよ」
身体の倦怠感に抵抗する気力も残っていないつむぎのベッドの中に名前が入ってくるのは一瞬の出来事だった。ぎゅっと抱きしめられた温かさと心地良さに、とうとう彼は拒むのを諦め眠りについた。
―「おはよう、つむぎ。熱、下がったかな?」
意識が朦朧としていたせいで、何があったのか全く思い出せない。しかし、ベッド上に居る名前の姿は、まるで情事後を連想させるように下着しか着用していない。視線を背けつつも、内心どうしたらいいのかわからずに「すみません」と謝罪するのだった。
「なんで謝るの?何もなかったよ」
「それなら、そんな格好しないでくださいよ。心臓に悪すぎます」
何もなかった。という台詞に安堵して表情を緩めているつむぎだが、数秒後には「着替え手伝うね」の声と共にパジャマを脱がされて互いに半裸のままシーツに包まれるのだった。
「初めてじゃないからって、俺に迫るのやめてくださいよ」
シーツから顔を出して名前と視線を合わせ、観念したように苦笑を浮かべる。「好きな女の子から何度もこんな事されたら理性崩れます」と漸く本音を顕にしたつむぎに、不服そうに眉を顰めた彼女は告げる。「私はまだ未経験だよ」と。
「名前。俺、好きな女の子になら襲われてもいいです」
「何それ。煽ってるよね?」
「違、って…名前っ!どこ触ってるんですか!」
普通の物語ならば、名前が処女を捧げたと表現するのだろうが、この二人はそうではない。かくして、覚悟を決めたつむぎは名前に押し倒されて童貞を奪われるのだった―
END
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