欲しいのは君
名前
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―「名前はセンパイが好きなのな~」
嬉しそうな色が出てるな~。と、つむぎの後輩で共感覚の持ち主、春川宙に初対面ながらも確信をつかれた事で、名前は今とても焦っている。このままでは、私がつむぎの童貞を狙っている事がバレてしまう!と。宙とつむぎと一緒に街に訪れていた彼女はスピリチュアルな店内にて、御守りを選んでいるつむぎの隣で自分もパワーストーンを買うことにした。占いやまじないに頼る癖のあるつむぎに倣って、恋愛成就に効果がある天然石ローズクォーツのブレスレットを購入し、左手に付けている。
「先輩方と宙くんって、なんだか親子みたいですね」
「え?それって、つむぎと私が夫婦に見えるってこと?」
街中でばったり出くわした葵兄弟の台詞に名前が食いついた。ハロウィンのコスチューム姿の2winkが「お二人、仲が良さそうなので夫婦みたいです」と冗談交じりに褒めてくれるが、名前は喜び勇んでニコニコしている。「そんな事ないですよ」と否定したいつむぎだったが左側には彼女がぴったりと寄り添い、右には宙が引っ付いている為、さすがに何も言えずに口を噤んだ。
「センパイも、名前が好きな~」
宙にはわかります!と、名前がトイレに行っている間に宙がした発言に、つむぎはギョッとした。名前に聞かれていなくてよかったと胸を撫で下ろすも、その言葉には困惑してしまう。
―「トリックオアトリート」
ハロウィン当日、帰宅したつむぎはバニーガール姿の名前に襲われそうになっていた。悪戯をしてもいい日を彼女が活用しないわけがない。つむぎの兄の協力を得て、青葉家のつむぎの部屋でスタンバイしていたのである。
「えっ?ちょっと待ってください。俺、お菓子持ってるんですけど…」
「誰の為にこんな衣装着てると思ってるの?つむぎに悪戯する為に決まってるでしょ」
制服のブレザーを脱いでハンガーに掛けようとしたところ、問答無用で彼女からの悪戯が始まった。ベルトを外されズボンを脱がされそうになり、抵抗したつむぎがバランスを崩して床に倒れた。まさにその瞬間、彼女が馬乗りになって彼の動きを封じ込めた。
「ストップストップ!」
「嫌がりすぎでしょ。失礼な」
唇が触れそうなくらい近かった彼らの距離は、つむぎが名前の肩を掴んで遠ざけたおかげで間一髪を免れた。だが、この体勢は非常にまずい。そもそも彼女は、ハロウィンのルールを完全に無視している。
「ハロウィンってこんな行事じゃありませんし、お願いですから退いてくださいよ。名前」
「チューしてくれたら退いてあげるよ?」
つむぎに跨って、彼に覆い被さるように躰を密着させている彼女は口元に弧を描きながら彼を見上げている。この危機的状況の中、ずっと困り顔だったつむぎが何か思いついたように、ハッとして名前を見据えた。
「名前、あなた今お菓子持ってませんよね?トリックオアトリート」
自分の失態に気付いて顔を歪めた彼女は「悪戯決定ですね」と、こちょこちょと脇腹を擽られて力が抜け、漸くつむぎから離されるのだった。
To be continued…