欲しいのは君
名前
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―「夏休みに入ってから全然つむぎと会ってないなぁ」
一人、部屋で思いに耽った名前は突然思い立ったようにタンスの引き出しを引っ張った。そこにはこの間買ったばかりで胸元を強調したような作りになっているオフホワイトのビキニがしまってある。つむぎの童貞を狙うなら最早これが一番いい方法なのではないか。と彼女は服を脱いで、てきぱきと水着を着用していく。全身鏡の前で「イケる気がする」と確信を持った彼女は水着の上にパーカーを羽織り、下はショートパンツを履いて隠している。意気揚々としながら自宅を出て歩いてすぐの場所にある青葉家のインターホンをプッシュした。
「どちら様…じゃない、名前ですか。久しぶりですね」
名前の訪問に多少驚きながらも「今日はみんな出払ってるんです」と、案外すんなりと家に入れてもらえた。家には誰も居ない…即ちこれはチャンスだ。「飲み物持っていきますから、先に部屋で待っててください」と言われた彼女は部屋に入るなりパーカーとショートパンツを脱いでベッドに腰をおろして待っている。しかし、何か思い出したのかその場で蹲ってベッドの下を物色している。
「つむぎの奴、エロ本どこに隠してんのかな」
ありがちな隠し場所を探したものの、それは見つからず。大人しく待っていようと立ち上がったその時、ドアが開いてつむぎが部屋に戻ってきた。目が合ったその瞬間、動揺のあまり手元が危うくなっていた彼から飲み物が乗ったトレーを受け取った名前がテーブルに置いた。何も知らずに部屋に戻ってきたつむぎは目の前の状況が呑み込めずに目を白黒させながらも声を絞り出した。
「名前。いくら暑いからって俺の部屋で水着になるのはやめてくださいよ」
どういうつもりなんですか。と彼女の隣に座って顔を覗き込んだ彼は顔を両手で抑えられ、キワドイ水着姿の名前から視線を背けたくても背けられないようにされてしまった。
「それで、感想は?」
私の水着姿、どう思うか教えてほしいな。と誘うように上目遣いをする彼女に対して、そもそも女子に免疫がないつむぎは顔を真っ赤に染めて彼女と視線を合わせた。漸く顔から手を離してもらえた彼は言いよどんだ末に「とても似合ってます」と月並みな褒め言葉を口にした。勿論、これで満足するような名前ではない。
「半裸の女と二人きりなのに、何もしないなんて。私相手じゃ欲情しない?」
―甘く囁きながらも距離をつめた彼女は彼の首に腕を絡ませて躰が密着するように横からギュッと抱きつく。場所がベッドの上という好条件な事もあり、そのまま押し倒そうとする名前に負けんまいと抵抗するつむぎ。これって普通逆じゃないの?という思いが二人の脳裏を過ぎった。倒されるのを防いだつむぎと向き合う形で不敵な笑みを浮かべた彼女は、押し倒す事は諦めたのか正面から彼に抱きついた。
「私、つむぎとならいいよ…」
「いいって…そんな妥協しちゃダメですよ。後から絶対後悔すると思いますよ」
二人が甘い雰囲気になりかけていると、出し抜けにインターホンが鳴らされた音が反響した。これからがお楽しみだったのに…と、悔しそうに眉を寄せた名前とは裏腹に「両親が帰ってきたかもしれません」と内心ホッとしたつむぎは部屋を出ていく。一人取り残された名前は「今日のところは諦めてやるか」と服を着直して退散するのだった。
To be continued…