七種茨短編
Edenと後輩
名前
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―乱凪砂親衛隊の隊長。そう自称しているのは、秀越学園一年生の名前である。他に隊員がいるのかは定かではない。Adamのファンであり、凪砂の大ファンである彼女は、今日も物陰から彼を見守って…いや、ストーキングしていた。いつ見てもかっこいい。しかも美しい。と、ぽーっと見惚れてしまう。そんな彼女と凪砂の接点はといえば、同じ考古学研究部に所属しているということだった。考古学にそれほど興味があったわけではない。不純な動機だが、凪砂と同じ部に入りたかったからだ。遠くから彼を眺めるのは、もはや日課と化しており、とても幸せな時間だったのだが、なんと本日はハプニングが発生した。「閣下のお知り合いでしょうか?それともストーキングでしょうか?」と声をかけられたのだ。その声の人物こそ、Adamの七種茨で。凪砂とは面識はあれど、茨と話すのは初めてだった為、彼女は動揺していた。ストーキングしていたのも間違いではないし、凪砂と知り合いだということも間違っていない。
「あれ?珍しいね。名前ちゃんは茨と知り合いだったの?」
「やはり、閣下のお知り合いだったのですね。疑って申し訳ございません」
「自分とは初対面でありますが」と、なんと名前がこそこそと凪砂を覗き見していたこともバラされてしまった。「考古学研究部の後輩なんだ。可愛いでしょ」と茨に名前のことを紹介して満足そうな凪砂だが、彼女から見られていたとは気が付かなかったと話す。このままでは凪砂のストーカーとしてAdamに認識されてしまうと焦った彼女は正直に暴露するしか手段がなかった。「憧れの先輩を、遠くから眺めてキャッキャウフフするのが、女子の習慣なんですよ。用があったわけではないんです」と。「つまり、閣下は名前さんの憧れの先輩というわけですね!」と納得してくれたのはいいが、本人にもバレてしまった故に居心地が悪い。このやりとりを覚えていたからこそ、凪砂は名前が可愛くて仕方がないのだ。
「女の子なんだから、無理して重たい物を運ばなくていいのに」
「私、女の子にしては力持ちなんですよ」
発掘調査で出土されたものを運ぶ彼女は小柄な体には不釣り合いな大きさのものを運んでいた。丁重に、丁重に運んでいたが、足元をよく確認していなかった彼女は、ぬかるみに足を取られてしまった。しかし、地面に倒れることはなく。一瞬何が起こったのかさえ分からなかった。しかし現在、憧れの凪砂の腕の中にいる。近くにいた彼が、咄嗟に彼女を抱き留めたのだ。思いもよらない出来事に歓喜したが、いつまでもこの体勢でいるわけにもいかず、名残惜しそうな表情で彼から離れた彼女はお礼を伝えた。「名前ちゃんが怪我しなくてよかった。か弱い女の子なんだから、もっと私を頼っていいんだよ」と頼もしい凪砂によしよしと頭を撫でられた。こんなにスキンシップが豊富だと、そのうち卒倒してしまうのでは?と思っていれば、唐突に雨が降り出したせいで名前は凪砂にお姫様抱っこで運ばれ、イベントの多さにキャパオーバーしてしまった。
「ぐったりしてるね。大丈夫?」
「凪砂先輩がかっこよすぎて…心臓がもちません」
「名前ちゃんが可愛すぎるのがいけないと思う」
END