七種茨短編
春企画
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―「敷地内で花見が出来るとは、流石は殿下であります!」
「今日は天気も良くて、いい日和だね!」
桜が開花し、お花見シーズンとなった今。Edenでお花見パーティーが決行された。レジャーシートの上で待っている彼らの元へと大きな鞄を手にプロデューサーの名前と、運ぶのを手伝ってくれているジュンが歩いていく。「GODDAMN!あのアホ貴族。なに、名前をこき使ってくれてんすかねぇ…」と日和の我儘に毎度振り回されているジュンが文句を垂れるが名前は笑顔でそれを諌めた。「Edenのみんなでお花見するの、私としては結構楽しみにしてたから。お弁当作るくらいなんてことないよ」と。重箱に詰められた弁当と共にEdenメンバーの写真を撮り、彼女は満足げに微笑む。食べ盛りの男子高校生が四人も揃っている為、おいなりさん、肉巻きおにぎり、唐揚げ、玉子焼き。と、ボリューム感のあるラインナップがされている。桜の木を見上げていた彼女は、唐突に茨から髪に触れられ、ピシィ…っと動きが止まった。あの毒蛇がどうした?と困惑したのも束の間。「花弁が付いてましたよ」と。ただそれだけのことだったのに、こんなにも身構えるなんて…と彼女は苦笑ながら紙コップに入った緑茶を口にする。「私の料理なんて、口に合いますかね?日和先輩からすれば庶民の味ですし…」と眉を下げて自信なさげな言動をする彼女だが、Edenの面々は全力でそれを否定してくる。「名前の手料理が美味しくないわけがないね!」「普段、作ってくれてるお菓子も美味しいしね」と三年生のふたりが。そんな中、ジュンが彼女の耳元で問いかける。「名前。花粉症大丈夫なんすか?」と。「お薬が効いてるから平気だよ」と答える彼女。しかし、その密接な様子を見ていた日和が声を上げる。
「ジュンくんばっかり名前と仲良くして狡いね!名前はジュンくんのものじゃないのにね!」
そんな日和は相当対抗意識を燃やしているのか、「ぼくが食べさせてあげるね!」と唐揚げを彼女の口元へ運び食べさせてくれた。そうすれば、「ねぇ。名前に食べさせてもらいたいな」と甘えてくるのは凪砂である。歳上ではあるものの、自分に甘えてくる凪砂はなんて可愛いのだろう。と名前は身悶えた。「あーんして下さいね〜」と甘い玉子焼きを食べさせてあげると彼は嬉しそうに微笑む。そんな中、「名前の手料理めちゃくちゃ美味しいじゃないですか!流石は我らのプロデューサーであります!」と毒蛇からの褒め殺しが。しかし、思うところがある彼女は素直にそれを喜べずにいた。「今時、料理くらい出来ないと嫁の貰い手がないんだって」と自嘲的に呟く。「これだけ料理上手なら自信持っていいと思うんすけどねぇ…」とジュンが。そして、それに被せてくるのは瞳を輝かせた三年生のふたりだ。「貰い手がないわけないね!だってぼくが貰うからね!」と日和が。「私だって貰いたい。名前はこんなに可愛くてお料理も上手で…きっといいお嫁さんになれるよ」と凪砂が告げる。二年の彼らは傍観に回ってくれるのかと思いきや、そうでもなかったようで。食後のデザートに。と、手作りプリンを出せば、茨からがしっと手を握られこの台詞である。「名前って何でも作れるんですね!最高のプロデューサーであります!」と。
「そういえば、茨の好物ってプリンだったよね…」
「ナギ先輩情報なら確実っすね」
「プリンに釣られるなんて、毒蛇も結構子供っぽいとこあるんだね!」
「名前プリンを前にしたら、どんな言葉も気になりませんね!」
END