七種茨短編
七種茨
名前
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-「あんずさんって茨のこと好きなんすかねぇ?」
ジュンが何気なく言った一言に、言葉にならない焦りを募らせつつ、「なんでそう思うの?」と、ぎこちなく問いかける名前はぎゅっと掌を握りしめ、小さく深呼吸した。「コズプロに所属してるわけでもないのに頻繁にここに来るし、いつも茨に用があるみたいなんで」と、ジュンが説明する。胸がザワザワと騒ぎ出してこの場から走り去りたい衝動に駆られる。彼とは恋人らしいことはあまり出来ていないとはいえ、付き合っている事は事実だ。「顔色悪いっすよ。大丈夫っすか?」と心配してくれる声に軽く返事をして、彼女は足早に立ち去ってしまう。とぼとぼとおぼつかない足取りで歩いていると、スマホが震えた。ホールハンズに届いているメッセージは茨からのものだった。きっと、業務連絡に違いない。私的な理由で呼び出される筈ない。と、分かっているのにどこか期待してしまう自分がいて。茨に触れてほしい。キス以上のことだってしたい。と、近頃ご無沙汰なせいで邪な思考が脳内を占拠してしまう。副所長室に入るや否や、不敵に微笑む茨が彼女を手招きする。机の前に立つ彼女は「もっと近くに」とすぐ傍に来るように促され、名前は混乱していた。言われた通りに歩み寄り「それで、ご要件は?」と、よそよそしく問いかける。
「ふたりきりになりたかっただけでありますよ」
「仕事の話じゃ…っ」
椅子から立ち上がった茨に腰を抱かれ、頬に手を滑らされ顎を掬われた彼女は、想定外の出来事に思わず言葉が途切れた。味わうように何度もキスをされて、嬉しいような恥ずかしいような気持ちになるも、ブラウスのボタンを外され驚いて声が漏れる。「仕事中にどういうつもり?」と言い終わるよりも先に彼の手が素肌に触れていた。はだけさせられた胸元からは下着が覗き、更にそれをぐいっと肩からずり下ろされて膨らみが顕になる。再び椅子に腰掛ける茨に誘導され膝の上に跨る体勢になると、晒された胸の先端に吸い付かれ舌で執拗に愛撫され、もう片方も揉みしだかれて秘部が熱を持って疼き始める。
「ン…っ。もう、がっつきすぎ…っ」
「名前を、こうしたくて堪らなかったんでありますよ」
胸に顔を埋めた瞬間にカシャンと眼鏡がぶつかり、彼女がそれを抜き取る。「そんなにガツガツして…欲求不満?」とからかうが、すぐに茨から反撃され、彼女は太腿をもぞもぞと擦り合わせる。敏感な胸の頂は既に反応しきっていて、いやらしい手つきで腰を撫でられると同時に先端をきつく吸われて愛液がショーツに染みを作る。茨の女性関係で悩んでいた筈なのに、こうしていつもと違う雰囲気の茨に余裕なく求められると、何もかもを忘れて身を委ねてしまう。スカートの下に履いていたものを脱いで彼のものを受け入れる。対面座位の体位でぎゅうっと彼に抱きつくと、耳元で名前を囁かれ、下から突き上げられナカが締まる。
「ほら。名前が動くんでありますよ」
「ふ、ァァ…っ。分かった、からァ…っ」
彼女が主体となるのは初めてだっただけに、戸惑いながらも腰を動かす。深くに挿入(はい)っている男根が感じる場所を何度も刺激し、思わず抱きつく腕に力がこもる。積極的に、茨を求めるがままにいやらしく腰が動いてしまう。それに加え、耳元で言葉責めされながら突かれているせいでどんどん感度が高まっていく。色っぽく吐息を零す彼の姿に煽られ、動かした腰が止まらなくなる。
「あ…やだァ…っ。イっちゃいそ…っ」
「名前…っ。全部、受け止めてくださいよ…っ」
互いに激しい律動が繰り広げられ、腰を茨に固定されたまま名前のナカで白濁が吐き出された。繋がったまま暫く茨に抱きついていた彼女が口を開く。「てっきり、他の女の子とヤってるものだと思ってたけど…」と、今まで不安に感じていたことが吐露された。こうして性欲を向ける相手は自分だけにしてほしい。と、彼女のほうからキスをされ、茨は面食らっていた。浮気を疑われていたとは心外だ。と、「自分、長らく名前に触れていなかったせいで仕事も捗らなかったんでありますよ」と自嘲的に告げられた。
「あんずちゃんとは何もないの?」
「ないですよ。名前こそ、他の男に言い寄られてるんじゃありませんか?」
「そういう時は、副所長の名前をチラつかせれば大丈夫」
「…やっぱり言い寄られてるんですね」
END