七種茨短編
七種茨
名前
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-「見た目は茨似だね」
「中身まで毒蛇に似たら大変だね!悪い日和!」
凪砂閣下が抱っこして、隣から日和殿下が覗き込んでいる。彼らの目線の先には、生後二ヶ月の我が息子が。冒頭の台詞でお分かりかと思うが、息子くんは私には全然似ていない。父親である茨にそっくりなのだ。本日、彼はアイドル業ではなく事業関連の用で家にいない。Edenの先輩方に子守りなど…という心配は杞憂だったようで、二人とも息子くんを可愛がってくれている。「こんな可愛い子をほったらかして、茨は勿体無いことをしているね」と閣下に言われて内心ぎくりとする。私は仕事を育休しているし、茨は何かと忙しい身だし、ワンオペ育児になってしまうのは仕方のないことかもしれない。しかし、息子くんと触れ合って、可愛い表情、仕草を実際に見てもらえないのは心苦しかったりする。
「ミルクの時間かぁ~…」
明け方、息子くんの鳴き声で起こされた私は思わず目を丸くした。私と目が合った茨の腕の中には哺乳瓶でミルクを飲んでいる息子くんの姿が。代わろうとすれば「自分に任せて寝ていてください。このままでは父親の顔も覚えてもらえませんからね!」と、「閣下と殿下から写真が送られてきましてね。焚き付けられたのでありますよ」と育児モードになっていたので任せることにして私は再び仮眠に戻る。夜泣きはしないけれど日中も中々寝られなくて寝不足だし。とりあえず、茨と息子くんの写真を一枚撮らせていただこうと携帯片手に戻ってきたら、うんちオムツに悪戦苦闘している茨がいた。「何撮ってるんですか」と文句を言われながらも、貴重なワンショットをゲットしてホクホクしながらベッドで横になる。ベビーベッドは私の部屋にあるので、寝転びながらも茨と息子くんの様子が見られるわけだ。
「息子くん、チューすると嫌そうな顔するんだよね」
「名前がしつこいからじゃないですか?ウザがられてるんでありますよ」
「母の愛情なのに~?」
オムツ替えも終わり、息子くんを寝かしつけた茨が振り返ってこちらに近付いてくる。「寝るんじゃなかったんですか?」と呆れながら。何となく目を閉じて狸寝入りしていると、唇に何か重ねられて…、思わず目を開く。目の前にはしてやったり顔の茨がいて、嬉しいのに気恥ずかしくなって視線を逸らした。「なんでキスしたの」とぽつりと呟くと隣に寝転んだ彼が寄り添ってくる。「自分とは滅多にキスをしていないのに、息子とはキスしていたなんて面白くないからでありますよ」と拗ねたような言動がいつもの茨らしくなくて、くすりと笑っていたら反撃されて口を閉じた。
「胸大きくなりました?」
「授乳中はサイズアップするからね。今Fカップくらいあるよ」
久しく触れられていなかったせいで、彼からのスキンシップ(セクハラ)が嬉しかったりする。性欲なんてほぼなくなった筈なのに、胸を触られるとどうしてもそういう気分にさせられてしまうわけで。しかし、帝王切開の傷がまだ痛むので行為はさけたい。だけど、茨くんとイチャイチャしたい。なんて、私は我儘だろうか。そういえば…と、独り言のような不安を口にする。「子供を生んだら、もう女として見てもらえなくなるなんて…訊いたことあるけど、茨くんはどうなの?」と。
「子供を生んだ今も変わりなく魅力的だと思いますが。いや…今まで以上に女らしいなんて、どうなってるんですか名前の魅力は」
「知らないよ。変なキレ方しないでよ」
END