七種茨短編
乱凪砂
名前
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―「むぅ…。凪砂くんは私のなのに…」
テレビ画面を睨み付けている彼女、名前は猛烈に嫉妬していた。ドラマを視聴しているのだが、芝居だと分かっていても自分以外の女が凪砂と抱き合っているのは気に食わないものだ。それを見るのが嫌なら見なければいいじゃないかと思われるかもしれない。だが、凪砂の活躍をこの目に納めたいと思うのも当然で、彼女は葛藤していた。役になりきっている彼もかっこいいが、如何せん恋愛ものの題材な為、女性との接触は避けられない。そんな名前の腕の中には凪砂のデフォルメぬいぐるみが抱かれている。対抗意識を燃やし、その凪砂ぬいぐるみの頬にキスをする。その瞬間を、帰宅した彼に目撃されたとは気付かずに、彼女はテレビの電源を切った。「名前。私のぬいぐるみにキスしてたのはなんで?本物はここにいるのに…」と隣に座った彼は解せぬと言いたげな様子で問いかける。「凪砂くんおかえり」と告げたものの、恥ずかしくて彼の顔も見られず、俯いたまま凪砂ぬいぐるみを抱きしめ直し彼女は呟く。
「凪砂くんが他の女性とキスしてたのが嫌だったから…この子にチューしただけ」
「名前にドラマのこと言わなかったのは、今回みたいにキスシーンがあると嫌がると思ったんだ」
「お芝居だって分かってるのに、焼きもち妬いて馬鹿らしいよね…」
顎を掬われ、俯いていた顔を上げれば凪砂と至近距離で視線が絡む。彫刻のように整った顔をしている彼だが、今は照れているのか頬が染まっている。「ねぇ、その子ばっかり狡い。私にもキスしてよ」とぬいぐるみと名前を交互に一瞥して、彼はそうねだる。彼の頬を包み込んで、彼女のほうから唇を重ねる。最初は触れるだけのものだったが、凪砂の舌で唇が割られ、互いの舌が絡み合った濃厚な口付けに発展した。いつもよりも深いキスに息を乱しつつ、彼女が彼に抱き着いた。うなじに手を回すと凪砂に腰を抱かれ、彼の上に被さる体勢になった。潤んだ瞳で自分を見据える名前はなんて可愛いのだろう。と、彼は身悶えていた。すりすりと擦り寄ってくる彼女を抱きしめ、凪砂は告げる。「私はね、名前が嫉妬してくれて嬉しいんだ。それに…焼きもち妬いてる名前もすごく可愛い」と。その甘い囁きに彼女は胸の奥が締め付けられた。
「私が妬いたことはさておき、演技してる凪砂くんもかっこよかったよ」
「ありがとう。あの演技中ね…相手が名前だったらいいのにって何度も思った。だから家に帰ったら、名前をいっぱい堪能しようって決めてたんだ」
「いいよね?」の問いかけに返事する暇も与えられず、抱きかかえられた彼女は寝室に運ばれていく。同棲して間もない上に、近頃忙しくて身体を重ねることは久しぶりだった。「脱がせてあげるね」と彼の手でシャツのボタンが外されていく。シャツを脱ぎ、穿いていたスカートがすとんと床に落とされる。ストッキングを脱いでベッドに戻ると、服を脱いでいた彼の腕に拘束された。「その下着…私が選んだやつだね」と彼の言う通り、透け感のある白レースに水色のリボンが付いた清純なデザインのランジェリーは凪砂が選んでくれたものだった。
―「下着姿の名前も可愛いから、脱がせるのが勿体ないね」
「じゃあ、着けたまましよ?」
上体を起こすと、彼が胸に甘えてくる。「名前の胸…柔らかくていい匂いがして、なんだか甘えたくなる」といつもの閣下のキャラは何処へやら。胸に顔を埋めながら、その両手で下着の上から胸を揉みしだかれる。やがて布がずらされ、顕にされた先端を彼の指先で愛撫される。中々触れてもらえなかった箇所を刺激され、身を捩らせた彼女の様子に凪砂は口元に弧を描いた。愛液でべっとりのショーツを取り去られ、下半身をもぞもぞとさせている彼女は、そこに舌が這わせられたことで、びくんと身体を揺らした。凪砂がこんなことをするのは初めてだった。「ンン…っ。そこ、汚いから、舐めちゃ、やだァ…っ」
「名前に汚いところなんてないよ」
愛液が付着した唇をぺろりと舐め、そう言って再び蜜壷に舌が入ってくる。凪砂の天然で素直すぎる台詞は嬉しいけれどすごく恥ずかしい。と彼女は思っていた。「名前も欲しそうだし、入れてもいい?」その問いに頷くと、彼の腫れ上がった男根がゆっくりと挿入される。根元まで収まると、途端にピストン運動が開始された。溢れていたそこは彼のモノを咥えこんで離そうとしない。潤滑油となった蜜も、ぎゅうぎゅうと締め付ける膣壁も…彼を感じさせるには充分だった。
「はァ…っ。凪砂く…っ。そこ、突いちゃ…だめェ…っ」
「名前…っ。私、もう、止められな…っ」
久々の営みに、彼女の身体も感じやすく敏感になっていた。部屋にはふたりの艶かしい息遣いと粘着質な音だけが聞こえ、扇情的な雰囲気に呑まれていく。正常位で腰を振り、時折胸に触れてやれば、彼女は感じすぎているのか涙目になっている。
「ァ…っ。凪砂く…っ。この体勢、イっちゃいそ…っ」
正常位から体位が変えられ、彼女の片足が持ち上げられる。一際深いところまで彼のものが入り、先端でグリグリと感じる箇所を刺激される。激しさはなくとも、子宮が疼くような感覚は快感に変わり、あまりの気持ちよさに彼女の手に握られたシーツは皺を作っていた。解されすぎたソコを今度は寝バックの姿勢で攻められ、彼女は彼より先に達してしまった。伸びてきた彼の手が彼女の手の甲に重なり、手を握られた。彼女が達した後に緩く腰を打ち付けた彼は彼女のナカで絶頂を向かえる。幸せな余韻に浸っていたが、太股を伝っていく液体に気付き、名前は焦燥して起き上がった。結合部から白濁が流れているのを目の当たりにし、焦った彼女はついつい彼を咎めてしまう。「凪砂くん。なんでゴム付けなかったの?」と。「前に、名前がゴムなしで繋がりたいって言ってたから…」と彼の返答を聞いて彼女も思い出した。だが、それは「凪砂くんと結婚して、子供が欲しくなったら」という台詞が抜けている。現在同棲はしているが、籍も入れていない。
「ごめんね。私がそう言ったわけだけど、デキ婚なんてEdenのみんなに合わせる顔がないよ…」
「ごめんね。名前が可愛すぎて…つい。だけど、私はいずれ名前と結婚したいな」
「凪砂くんなら引く手あまただと思うけどなぁ…」
凪砂の本心を聞いて、彼女は彼の腕の中で動けなくなった。こんな自分をそこまで愛してくれているのか。と愛しさで胸がいっぱいになった。孕んでしまったら困る筈なのに、彼との子供が欲しい。なんて矛盾した思考が頭を過ぎり、彼女は苦笑した。「子供は名前に似てほしいな。絶対可愛いよ」と彼は耳元で呟く。「私は、自分には似て欲しくないな。男の子でも、女の子でも…凪砂くんに似てほしい」こんな言い合いは中々決着がつかず、凪砂が無理矢理全てを纏めた結論を出した。「私達の両方に似たらいいね。Edenのみんなも子守りしてくれそうだし…」
END